いざ、夢と魔法の世界へ!

 さて、ついに待ちに待ったツアーがスタート。ドキドキと胸を高鳴らせながら、各国のハリー・ポッター映画の宣伝ポスターが飾られている小部屋に入る。スタッフの女性から会場内の簡単な説明を受けると、奥にある3つの扉が開いた。次の部屋は映画館のようなつくりになっており、扉に近い人から中へと進み、端から順番に座っていく。気合を入れて扉近くに陣取った人は、見事に座席が端寄りになってしまった。中央に座りたいならば、最初の小部屋で中央付近の場所を確保しておこう。
ショートフィルムを鑑賞してさらに気分が盛り上がったところで、今度はホグワーツ魔法魔術学校の大扉との対面だ。重厚なオーク材の扉にはスリザリン、グリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルパフの4学寮の紋章が彫られ、映画では気付かなかった緻密な装飾に目を奪われる。
やがて映画のテーマ曲が流れる中、ギギギギ~という音とともにゆっくりと扉が開いていき、我々の期待と緊張も頂点に。そして眼前に、映画のシンボルともいえるホグワーツの大広間がその姿を現した。思わず口をぽかんと開けている人、目を輝かせている人、満面の笑顔で歓声をあげている人など、その反応は新入生のハリーたちが初めてこの広間に足を踏み入れた際に見せた表情そのもの。映画の中の出来事を追体験している気持ちにさせる演出に脱帽だ。
グループでのツアー形式はここまで。あとは各自で自由行動となる。大広間を通り抜けると、会場内の随所に「ツアー・インタラクターTor neracor」と呼ばれるガイドが待機している。撮影セットの解説のみならず、お目当ての小道具が見つからないときなど、知りたいことや困ったことがあれば尋ねてみよう。音声デジタルガイドのバッテリー切れにもすぐに対応してくれる。
 

 

ハリポタの本拠地
リーヴズデン・スタジオの歩み

  かつては、英国空軍の軍用地であったリーヴズデン。第2次世界大戦が終了した後、同地はロールス・ロイス社の航空機エンジン工場として使われていた=写真下。1994年に工場が閉鎖されると、不動産会社「MEPC」がリーヴズデンを買い取り、ワーナーブラザーズと契約を締結。翌年、同社専用の映画撮影スタジオに生まれ変わった。
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しかしながら、これまでリーヴズデン・スタジオで撮影された映画はごく少数。「スター・ウォーズ エピソード1:ファントム・メナス」「ダークナイト」「シャーロック・ホームズ」などの撮影が一部行われた程度だった。同スタジオで全シリーズが撮影された映画は「ハリー・ポッター」が初めてという。
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今回のワーナーブラザーズによる買収・新装オープンにより、リーヴズデンは英国を代表する映画撮影スタジオの一つとなるだろう。

 

 

映画セットはもはや芸術品?

 

 場内の展示をどれだけ楽しめるかは、物語を知っているか否かで差がでてくるだろう。しかし、原作や映画の知識がまったくなくても、アカデミー賞美術賞にノミネートされたほどの精妙な仕事ぶりは、心を揺り動かす力があるはずだ。じっくりとその完成度と芸術性を堪能していただきたいが、その中でも「ここは要チェック!」という見どころを独断で選んでみると、次の6ヵ所になるだろうか。

 

ホグワーツ魔法魔術学校

① グリフィンドール寮・男子寝室

 ハリー、ロン、ネビル、ディーンのベッドが並ぶ学生寮の寝室。
ベッドの下に置かれたスーツケースのイニシャルで、誰のベッドか区別できる。
写真はハリーのベッド。

 

 

② グリフィンドール寮・談話室

 グリフィンドール寮のテーマカラー「赤と金」でまとめられた談話室。
寮監であるマクゴナガル先生の若かりし頃の肖像画(後姿)も
飾られているので、お見逃しなく。

 

③ ダンブルドア先生の校長室

  歴代校長の肖像画で壁一面が覆い尽くされた校長室。
物語で重要な役割を果たした、過去の記憶をたどることができる「憂いの篩(ふるい)」のほか、
寮の組み分け帽子やゴドリック・グリフィンドールの剣もここにある。

 

④ 魔法薬学の教室

  薬草や骨、動物などが入った不気味な瓶がずらりと並ぶ。
地下にある教室なので、薄暗く湿った雰囲気が漂う。