「ポタ・ヘッド」の聖地
ワーナーブラザーズが約3年を費やして取り組んだ改装工事が完了し、4月26日、正式にオープンしたリーヴズデン・スタジオ。ロンドン郊外のワットフォードに建つ同スタジオは、世界中で人気を博した映画「ハリー・ポッター」シリーズ全8作品の撮影が行われた場所である。
このリニューアル事業の一環として、昨年3月31日に同スタジオ内に誕生したのが、「Warner Bros. Studio Tour London: The Making of Harry Potter」。ハリー・ポッターの撮影セットなどを見学することができるアトラクションだ。オープン直前の昨年3月下旬には、すでに半年先までの入場券がほぼ完売し、大きな話題となった。全世界にいる「ポタ・ヘッド potter head」(ハリポタの熱狂的ファンのこと)が、一度は訪れてみたいと念じる『聖地』といっても過言ではないだろう。
スタジオ前で最初に出迎えてくれる「魔法使いのチェス」の駒(上)と、
出演者の写真パネルが飾られたスタジオ内のロビー(下)。
世界中を魅了し続ける魔力
ロンドン中心部から北西へ車を走らせること、約1時間。高速道路M1のジャンクション5番をおりた後、標識に沿って進むと、ハリー・ポッターの巨大写真パネルが掲げられたクリーム色の建物が、突如その姿を現す。いよいよハリポタの世界の始まりだ。航空機エンジン工場の跡地を利用したスタジオであるため、駐車場は広く設けられており、見学客にとってはありがたいつくり。入り口で入場券の控えを見せ、誘導係員の指示に従って車を停めた。ちなみに、入場券は日時指定制。当日券の発売はないため、週末の昼間に行きたい人はできるだけ早くから事前予約した方がいいだろう。
車を降りてスタジオへと歩を進める途中、ハリー・ポッターの絵が一面に施された専用シャトルバスを発見! このバスはロンドン・ヴィクトリア駅~ワットフォード・ジャンクション駅~スタジオ間を往復しており、ヴィクトリア駅から乗車する場合には予約が必要(入場券とセットで申し込み可能)。ワットフォード・ジャンクション駅からは約15~30分毎に出発しているので、電車で訪れる場合は、この駅からシャトルバスに乗ってスタジオまで向かおう(往復2ポンド)。
スタジオのエントランス前に着くと、今度は映画1作目『ハリー・ポッターと賢者の石』に登場したチェスの駒の姿が! その見上げるばかりの大きさと精巧さに驚き、同アトラクションへの期待が高まる。窓口で正式な入場券に引き換え、スタジオ内へと足を踏み入れた。
取材班が訪れた日はハーフターム中であったこともあり、平日の午前中にもかかわらず、ロビーは人であふれ返っていた。様々な言語が飛び交い、英国外から訪れた人も多そうだ。
子供連れの家族が目立ったが、なかでも印象的だったのは子供はもちろん、その両親や祖父母もみんなワクワクした表情を見せていること。シリーズ終了後も、老若男女を問わず世界中で愛され続けていることを実感。また、1つの作品がこれだけの人に幸せをもたらしていることに感嘆の念を覚えた。
このスタジオツアーは30分おきの出発となっている。ただし、ツアーといってもグループで行動するのは最初だけで、あとは自分のペースで自由に見て回ることが可能。一度入場してしまえば時間制限はなく、写真撮影もOKだ(一部の場所を除く)。
我々のツアー開始時刻は12時。係員にチケットを提示し、スタート地点の部屋へと続く入場者の列に加わる。ところが、会場内が混みあわないように入場制限を行っていたため、やっとツアー入り口に差しかかったときには40分以上が過ぎていた。このように待ち時間が長くなりそうな場合は、ロビーで貸し出している音声デジタルガイドを楽しむことをおすすめしたい(4・95ポンド、日本語字幕版あり)。スタッフらが明かす製作秘話やハリー役のオーディションの秘蔵映像などが収録されており、これを見るだけでも1時間は費やせそうだ。
スタジオツアーは、このホグワーツ魔法魔術学校の大広間から始まる。
最初に来場者の心をぐっと掴む演出は、映画会社であるだけに見事だ。