飲食派

近年のロンドンで、素材の質、味ともに発展が著しいストリート・フードは見逃せない。サンドイッチ、ハンバーガー、シーフード・ラップなど、ストリート・フードを手に市場を歩く人も多い。人気のお店を紹介しよう 。

攻略のカギ① ラクレット

 バラ・マーケット内でとくに長い行列ができている店は、チーズ生産業者「カッパカセインKappacasein」=地図上①。グリーン・マーケットをサザーク大聖堂沿いに歩くと、長い行列が見えると同時に、鼻を突くツンとしたチーズの「匂い」がするのですぐにわかるはずだ。「臭い」と書くべきなようなその香りの元をたどると、直径30センチ弱のチーズが半分に切られ、切り口を上に向けた状態で特別な機械の上に乗せられているのが視界に入る。切り口には上から直火があたり、黄色いチーズはまるで生きているかのようにみるみるうちに溶け出す。機械からチーズの塊ごとはずし、とろっと溶けた部分をゆでたジャガイモの上に削ってのせ、胡椒をふったら完成。その様子を見ていると、並ぶのを我慢してでも食べずにはいられない。小さなガーキンとオニオンが添えられて供される。
スイス料理のひとつ「ラクレット」として知られるこの1品、スイスのハードチーズ「ラクレット」を使用するのが伝統だが、同店ではチェダーチーズの発祥地、イングランド南西部のサマセットでジャージー牛から作られた「オグルシールドOgleshield」と呼ばれるチーズを使用。香りも強烈なら、味も濃厚のチーズに大満足の1皿6ポンド。また、チーズ・サンドイッチ(5ポンド)も人気だ。

攻略のカギ② ソルト・ビーフ・サンド

 ミドル・マーケットにある「ノースフィールド・ファームNorthfield Farm」が提供する「ソルト・ビーフ・サンドイッチ」にも長い行列ができている=地図上②。
ソルト・ビーフとは、脂身の少ない牛肉を塩漬けにして熟成させたあと、時間をかけて茹でたもの。バラ・マーケットに出店しているのは、シティの元銀行員が脱サラして創業したという店。ほぐしたソルト・ビーフがパンの間に、はみ出んばかりに挟み込まれ、ピクルス、マスタードがその味を引き立てる。塩味がほどよく効いた肉はやわらかく、脂身がほとんどない。2人でシェアできるほどボリューム満点のこのサンドイッチは、2つセットで6ポンド。



攻略のカギ③ 飲み物も充実

 同市場内には、サイダー、ビール、イングリッシュ・ワインなどの専門店、スムージー・ストールほか、飲み物も各種そろっている。スパークリング・ワインやサイダー、冬場にはモルド・ワイン(赤ワインにスパイスをきかせて温めたワイン)がカップで販売されるので、一杯飲みながらの散策もこたえられない。取材中に見掛けた英国女性2人組は、スパークリング・ワインをボトルごと購入し、楽しんでいる様子。プラスチック製のシャンパン・グラスとボトルを片手にフード・ストールの行列に並んでいるところを直撃すると「ピクニックみたいでしょ」と笑っていた。
なお、「スリー・クラウン・スクエア」内には座って食べることができる休憩エリアが用意されている。スペースがあるのはうれしいのだが、ストリート・フードが多く並ぶエリアからは遠い。座って食べたり飲んだりする場合、サザーク大聖堂の庭を利用している人も多いようだ。



マーケット見取図


※サザーク大聖堂のトイレは広くて清潔、しかも無料!

 

市場で買った肉や魚を調理してもらおう!
" Eat What You See."

食材を見た瞬間に、料理のアイディアが浮かぶ人は別にして、実際に魚や肉を調理するのは面倒…という人や、マーケットで一人暮らし用に少量買う勇気がなく、買ってみたいけど買えない…という人に耳寄りな情報がある。市場のはずれ、サザーク大聖堂前にあるレストラン「バナナ・ストア」が提供するサービス『Eat What You See』。「見たものを食べよう!」と名付けられたこのサービスは、指定の店で自分が品定めして選んだ食材を持参すると、それを調理し食べさせてくれるというもの。ストリート・フードより本格的に、家で調理するよりも手軽にバラ・マーケットの味を堪能できる。日本からの旅行者をもてなすときにも便利に使えそうだ。



Banana Store
※地図上③
1 Cathedral Street, SE1 9DE
020-7357-9795
www.bananastore.co.uk
※ 『Eat What You See』は土曜日(午前11時~午後4時)のみ。
予約、料金など、詳しくはウェブサイトでご確認を。