野田秀樹新作舞台 NODA•MAP「正三角関係」世界配信決定
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PART2 リッチモンドをウォーキングで楽しむ

リッチモンドには、ランチやアフタヌーン・ティーのみを目的に出かけるのも良いが、その前後に1~2時間のウォーキングを組み込んではいかがだろう。例えば、「その1」のルートを歩くのに、午前10時に出発。正午ごろにピータシャム・ナーサリーズ・カフェのランチを予約すれば、手ごろな運動の後、食事もさらに美味しく感じられるはず。また、ここにあげたルートの一部だけを歩いても十分リフレッシュできること、請け合い!


歴史的建造物/博物館
Syon House Ham House Marble Hill House Twickenham Stadium & Museum

レストラン/カフェ/ホテル
Petersham Nurseries Caf Pembroke Lodge The Dysart Arms The Petersham
Bingham

その1

キュー・ブリッジ(Kew Bridge)~ピータシャム・ナーサリーズ・カフェ(Petersham Nurseries Café)


【所要時間】約2時間(片道)
【距離】約7キロ(片道)
【道の状態】一部未舗装。雨の後はぬかるむ。また、歩行者専用ではないため、サイクリストにも注意を。
※出発地点の最寄り駅はキュー・ブリッジ駅で、ロンドン・ウォータールー(London Waterloo)駅から電車で約30分。バス(65番、237番、267番、391番)のバス停もあり。

まずは、キュー・ブリッジのテムズ河北岸にある、キュー・ブリッジ駅①から出発。キュー・ブリッジ(Kew Bridge)を渡って南岸のキュー・グリーン(Kew Green)側へ。現在の同橋はエドワード朝時代の1903年に、交通量の増加に対応すべく架けなおされたもの。歩道が広くとられているため、ベビーカーでも通りやすく、立ち止まって橋からの眺めを楽しんだり、写真を撮ったりしやすい。右手には木が生い茂るテムズ河の中洲=写真左=が、左側対岸にはウェストミンスターからハンプトン・コートまでをつなぐボートなどが発着する乗船場、キュー・ピア(Kew Pier)が見える。

橋の南西に広がるキュー・グリーンへ入る。そのまま進めば王立植物園「キュー・ガーデン(Kew Gardens)」のエリザベス・ゲートだが、その手前のフェリー・レーン(Ferry Lane)で右に曲がり、テムズ河沿いの遊歩道、テムズ・パス(Thames Path)へと進む。そこからは、きわめてシンプル。このパス沿いにリッチモンド(上流にある)へ向かえばOK。
キュー・ガーデンの駐車場とブレントフォード・ゲートを左手に見ながら通り越し、外からキュー・ガーデンを眺める格好で河沿いを歩く。この辺りの道は舗装されていないので、雨が降った後はぬかるむ。また、サイクリングやジョギングを楽しむ人も多いので、前後には気を配ろう。


 

キュー・ガーデン以降も美しい眺めが続く。右手対岸にはサイオン・ハウス(Syon House)=写真左=のあるサイオン・パーク(Syon Park)や、左手に広がるオールド・ディア・パーク(Old Deer Park)など。リッチモンド・ロック(Richmond Lock)=写真下=を過ぎ、3つのアーチからなるトゥイッケナム・ブリッジ(Twickenham Bridge⑦)、電車用の鉄橋が出てきたら、リッチモンドはもうすぐそこだ。なお、リッチモンド・ロックに併設されている歩行者用の通路は、欄干のデザインが美しい。寄り道する価値あり。



 

リッチモンド・ブリッジ(Richmond Bridge⑧)を過ぎて、舗装された遊歩道を進むと、バクレウチ・ガーデン(Buccleuch Gardens)に出る。ここにはベンチや公衆トイレがあり、河沿いに草地も広がっているので、ちょっと座って休憩するのに便利だ。そして、さらにピータシャム・メドウ(Petersham Meadows⑨)に入ったら、草を食む牛を眺めながらメドウを突っ切り、ピータシャム・ナーサリーズ(Petersham Nurseries Caf)へと向かおう。

【写真左上】ピータシャム・メドウの中を突っ切る道は舗装されているので、悪天候の際にもぬかるむことがない。
【写真左中】リッチモンド・ブリッジ。
【写真左下】ピータシャム・ナーサリーズ・カフェ。

その2

リッチモンド駅~
ハム・ハウス(Ham House)


【所要時間】約1時間(片道)
【距離】約3.2キロ(片道)
【道の状態】一部未舗装。雨の後はぬかるむ。また、歩行者専用ではないため、サイクリストにも注意を。
出発地点のリッチモンド駅は、地下鉄ディストリクト・ライン、およびナショナル・レール(ロンドン・ウォータールー駅から16~25分)の両方が乗り入れているので便利。リッチモンドの駐車事情はお世辞にも良いとはいえず、しかも、平日の朝夕の混雑ぶり、週末の夕刻の渋滞もひどい。編集部としては地下鉄またはナショナル・レールの利用をお薦めしたい。それでも車で、と希望される場合は、リッチモンド・カウンシルのウェブサイトで駐車情報を調べたうえでお出かけを。www.richmond.gov.uk

リッチモンド駅に着いたら、まずは左方向に出て、ブティックやしゃれたカフェが立ち並ぶ目抜き通り(The Quadrant→George St)を進む。石畳のウォーター・レーン(Water Lane)を下ると、テムズ・パスに出ることができる=写真すぐ上。目の前にはテムズ河が横たわり、リッチモンド・セントヘレナ・ピア(Richmond St. Helena Pier)が見える。

ここから河の上流に向かってテムズ・パスを進めばすぐにリッチモンド・ブリッジに到達。この辺りのテムズ・パス沿いにはベンチ(争奪の競争率は激しいが…)が並ぶほか、カフェ、レストランなどが充実しているので、対岸の景色やテムズに浮かぶボートを眺めたり、休憩したりする場所には事欠かない。


 

バクレウチ・ガーデンを越えて、河沿いに広がる牧草地、ピータシャム・メドウに入る。ここからさらに上流のハム・ハウス(Ham House)方面へ。ここからの道は再び未舗装の道となるので足元には注意が必要だが、うっそうとした木立が続き、木漏れ日が心地よい。左手にハム・ハウスへの道しるべが記された小道が現われるはずなので、それを見逃さないようにハム・ハウスへ向かう。



 

帰りは、ピータシャム・メドウの途中から別ルートをとるのも一案。ピータシャム・ロード(Petersham Rd)から枝分かれしているスター&ガーター・ヒル(Star & Garter Hill⑬)をあがり、高台を走る通り、リッチモンド・ヒル(Richmond Hill)へ。このリッチモンド・ヒル沿いには、平行してテラス・フィールド(Terrace Field⑭)テラス・ガーデン(Terrace Gardens)と呼ばれる憩いのスペースが設けられている。テラス・フィールドからテムズ河を見下ろす眺めは圧巻=下の写真は夕暮れ時のもの。一方のテラス・ガーデンは、もともと3人の所有主に分かれていた土地をまとめ、1887年に公園として開放したもの。2007年から2009年にかけて、地元のリッチモンド・アポン・テムズ区が100万ポンドを投入して散歩道の修復や植樹といった再整備を行なっており、ベンチのある展望エリアもいくつか設けられている。



 

ハム・ハウス

 

 

1610年にイングランド王・ジェームズ1世の廷臣、トーマス・ヴァヴァサー卿によって建てられた大邸宅で、現在はナショナル・トラストが管理している。ジェームズ1世の跡を継いだチャールズ1世から、後者の幼馴染だったウィリアム・マリーが借り受け、内部を豪華に改装した。
その後、イングランド内戦によりチャールズ1世が処刑され、邸宅も差し押さえられたが、ウィリアムの娘のエリザベスは聡明だったようで清教徒革命を賢く乗り切り、ハム・ハウスを取り戻し、さらなる改装を加えた。富裕な公爵と再婚したエリザベスは異国調の調度品や絵画などの収集にも熱心だったといわれ、中には1630年代に日本から輸出された漆家具も見られる。
17世紀のスタイルを復刻させた英国式庭園を含め、17世紀の権力や当時の上流社会の流行を顕著に示す建築物とさ
れ、様々な映画の撮影にも使われてきた。最近では、キーラ・ナイトレイ主演の文芸作品『アンナ・カレーニナ(2012)』やディズニー製作のSF『ジョン・カーター』などの撮影が行なわれている。元温室を改装した「オランジェリー・カフェ」では敷地内のキッチン・ガーデンで収穫されたハーブや野菜を豊富に使った料理を提供しており、お茶やランチが楽しめる。また、イースターの4連休には、、毎年「イースター・エッグ・ハント」が行われる(参加費用:子供1人3ポンド)ほか、幽霊にまつわる逸話もあり、年に数回、ゴースト・ツアーが企画されている。

 

 

Ham House

 

Ham Street, Richmond-upon-Thames, TW10 7RS
Tel: 020-8940-1950
www.nationaltrust.org.uk/ham-house
入場料(ピーク期で大人11ポンド/ナショナル・トラストの会員は無料)、開館時間は時期によって異なる(庭だけが公開され、建物は閉館の時期もあり)。