2012年10月25日

取材・執筆・写真/本誌編集部

蘇った秘密の庭園
レスト・パークを征く


© English Heritage

移りゆく季節の中で豊かな表情を見せる自然。
英国暮らしの大きな幸せのひとつは、
こうした自然をこよなく愛する庭師らによって造られた庭園に、
気軽にアクセスできることではないだろうか。
昨年の夏、英国人をもってしてもあまり知られることがなかった、
ある庭園の一般公開が始まった。
今号では、シークレット・ガーデンと称される、
レスト・パークを征くことにしたい。

 

英王室の象徴

  ロンドンから北へ車で1時間半、ベッドフォードシャーのシルソーという町に、300年の庭園史を物語る庭園がある。レスト・パーク(Wrest Park)という名のこの庭園は、英国の中でも有数の庭園のひとつに数えられる要素を持つにもかかわらず、その存在はあまり多くの人に知られていない。その理由は、昨年夏のオープンを迎えるまで、半世紀もの間、息をひそめていたことにある。
表舞台から姿を消した事情についてはあとで触れるが、かつて栄華を誇ったこのレスト・パークが、イングランドの歴史的建造物を保護する「イングリッシュ・ヘリテージ」によって引き継がれたのは2006年のことだ。300年の歴史を誇る庭園を現代に蘇らせようと、資料や研究にもとづいて修復計画が練られ、2010年に20年ごしのプロジェクトがスタート。その一部を終えた昨年8月に、一般にも公開されるようになった。突然現れたレスト・パークは今、シークレット・ガーデンとしてガーデン好きの英国人の間で人気を集めている。
取材班が訪れた日は、英国らしいどんよりとした曇り空。シルソーの町を通り、レスト・パークの門を抜けると、爽やかな緑色の広大な芝地と、両脇に整列した木々によって気高さを与えられた一本道が取材班を迎えてくれた。


最初に現れる、美しい一本道。
庭園へは途中で右折する必要があるので、標識を見落とさないようご注意を。