2012年8月16日No.741

●征くシリーズ●取材・執筆/藤井重隆・本誌編集部

香川がマンUにやって来た!!

にわかファンに捧げる
イングランド・サッカー AtoZ

 昨季ドイツのブンデスリーガ・ドルトムントで13得点を挙げ、
リーグ2連覇へと導いた日本代表MF香川真司をめぐり、チェルシー、アーセナルなどの
イングランド・プレミアリーグのクラブが獲得に名乗りを挙げた。
そして最終的に加入が決まったのは、名門マンチェスター・ユナイテッド。
移籍金は約20億円、年棒は日本人歴代最高の6億円となる見通しという。
今回は、香川の移籍決定を機に試合を観に行きたいという
「にわかサッカーファン」にもわかりやすい、
イングランド・サッカー特集をお届けしたい。

《メイン写真》© manutd.com

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◆マンUでの開幕先発なるか


マンUの入団会見で新しいユニフォームを披露する香川とファーガソン監督=7月12日、マンチェスターのオールド・トラフォード ©産経新聞社 「一日も早く、このチームで結果を残したい」
日本代表MF香川真司(23)は、イングランド・プレミアリーグの名門マンチェスター・ユナイテッド(以下マンU)の入団会見で、そう口にした。
日本サッカー界にとって、歴史的第一歩となった香川のマンU移籍。本人も「本当に大きな挑戦」と自覚する通り、このクラブでのプレーが日本の今後のサッカー事情を左右するといっても過言ではないほど、世界中の注目を浴びることになるだろう。だが香川は、「プレッシャーもあるけど、それを喜びに変えて、自分のパフォーマンスを披露したい」と力強く言い切った。
契約は4年。移籍契約の際、ジョージ・ベストやデヴィッド・ベッカム、クリスティアーノ・ロナウドら歴代のスター選手が背負った伝説の背番号「7」を丁重に辞退した香川は、Jリーグのセレッソ大阪時代に身に付けていた「26」を手にし、「(マンUの)エンブレムの入ったモノに袖を通すことは、本当に僕自身、感動的というか、素晴らしく誇りに感じている」と、詰めかけた約100人の報道陣を前に話した。
会見に同席したマンUのアレックス・ファーガソン監督は香川について、「ストライカーの後ろでプレーする選手で、非常に素早く、良い広さの視野を持っている。ゴール前で特別な役割を果たすことができ、違いを生み出せる選手」と表現。同監督は、ドイツのスカウトマンを通し、ブンデスリーガ・ドルトムントでリーグ2連覇に貢献した香川に昨年10月ごろから注目していたことを明かし、今季に向けては、「彼が順応し、選手仲間が使うサッカー用語を理解するようになれば、開幕先発もある」と、大きな期待を寄せた。

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1878年創設のマンUは、リーグ最多となる19度の優勝、欧州制覇3度を誇る名門。昨季はチームが世代交代の転換期だったこともあり、宿敵のマンチェスター・シティ(以下マンC)に連覇を阻まれ、7季ぶりの無冠に終わってしまった。目立つ弱点といえば、ベテランMFポール・スコールズ(37)とライアン・ギグス(38)に頼り続けている選手層の薄さであるが、これまで彼らが担い、観客を魅了してきた「攻撃的MF」のポジションで香川がどうプレーしていくのか。日本人でなくとも目が離せない状況だ。
マンUは昨季、スコールズを引退から復帰させるなどの「応急処置」を取った。スコールズとギグスの試合勘や判断力はいまだに一級品だが、年齢による体力低下は否めず、今季限りでの引退が濃厚とされている。豊富な運動量と献身的プレーで長年重宝された元韓国代表MF朴智星(パク・チソン)も、香川の加入に影響を受けたのか、「アジア人最優秀選手」のバトンを託すかのようにクイーンズパーク・レンジャーズへ移籍している。
また、ファーガソン監督は英語習得の重要性も強調。香川は、「一日も早くチームメートと深いコミュニケーションが取れるよう、英語を勉強して頑張っていく」と、通訳に頼りがちだったドイツでの環境から一新することも示唆した。
ちなみに、今季のプレミアリーグでは、日本人選手史上最多となる香川、李忠成(り・ただなり、26)、宮市亮(19)の3人がプレーする予定だ。サウサンプトンの李は、昨季終盤に負った足の甲の骨折を完治させ、シーズン開幕周辺で復帰することが見込まれている。アーセナルの宮市は、昨季同様に下位チームへの期限付き移籍を受け入れ、今季はウィガン・アスレチックで試合勘を養うことになった。
8月18日のリーグ開幕戦まであと2日。香川が希望する「2列目中央でのプレー」でアシストやゴールを量産する花形として輝くためには、プレシーズン遠征で、いかにチームに適合できたかが大きな鍵を握ってくるといえる。