バッキンガム・ゲート(Buckingham Gate)沿いにある見学者用エントランスを入っていくと、待ち構えているのがセキュリティ・チェック。手荷物を検査機にかけ、金属探知器のゲートを通り抜けなければならない。そして、無料の音声ガイド機(日本語あり)を受け取れば、いよいよ宮殿内の見学スタートとなる。
余談であるが、昨年9月に同宮殿の一般公開に参加した取材班は、音声ガイド機を借りる際に驚くべき体験をした。貸出カウンターにいた英国人男性スタッフに日本語のガイド機をお願いした途端、その男性はとても流暢な日本語でガイド機の使い方を説明し始めたのである。これまで幾つもの城や観光スポットを訪れてきたが、これほどまでに『外国人なまり』のない美しい日本語で対応されたのは初めてで、英王室のたくましい商魂の一片を見た気がした。


一般公開で見ることができる、庭園に面した旧館。新館の東正面棟と比べて、少し黄味がかっているのが特徴。
公開中はテラスに白いテントが張られ、特設カフェが設置される。

 昨年の一般公開では、ウィリアム王子とキャサリン妃のご成婚を祝し、同妃が身にまとったウェディング・ドレスやティアラ、靴、ウェディング・ケーキのレプリカなどが特別展示されたこともあり、約60万人が駆けつけた。これは、公開が始まって以来の最高来場者数という。今年はダイヤモンド・ジュビリーを記念して、エリザベス女王所有のダイヤモンド・コレクションを特別展示。女王が気に入って購入したダイヤモンドも披露される予定で、君主が個人的に手に入れた宝石を在位中に公開するのは前例のないことだという。
約950年に及ぶ英王室の歴史に対し、王宮としてのバッキンガム宮殿の歴史は200年にも満たない。しかしながら、バッキンガム公やジョージ3世が妻のために整え、さらに歴代の国王たちが愛情をかけて手を加えてきたこの宮殿が、再び離宮に戻ることはおそらくないだろう。英国の王室が続く限り、新たな歴史がここに刻まれていくのである。
バッキンガム宮殿が公開されるようになって、今年はちょうど20年目。
ロンドンのシンボルでもある、女王が暮らすこの公邸に、この夏、改めて足を運んでみてはいかがだろうか。


ホワイト・ドローイング・ルーム
[The White Drawing Room]
photographer Derry Moore
Royal Collection Trust2012,
Her Majesty Queen Elizabeth II

ミュージック・ルーム
[The Music Room]
photographer Derry Moore
Royal Collection Trust2012 Her Majesty Queen Elizabeth II

大階段
[The Grand Staircase]
photographer Derry Moore
Royal Collection Trust2012 Her Majesty Queen Elizabeth II

ブルー・ドローイング・ルーム
[The Blue Drawing Room]
photographer Andrew Holt
Royal Collection Trust2012 Her Majesty Queen Elizabeth II