2012年7月19日

取材・執筆・写真/本誌編集部

バッキンガム宮殿を征く


© Chorley and Handford

エリザベス女王のロンドンの公邸および執務の場である、
バッキンガム宮殿。ヴィクトリア女王が即位して以来、
英国君主が暮らす宮殿として代々受け継がれている。
今号では、世界中で最もよく知られたこの王宮を征くことにしたい。

 

英王室の象徴

 1837年6月20日、時の英国王ウィリアム4世がウィンザー城で静かに息を引き取った。嫡子の娘2人は生後まもなくに亡くなっていたため、姪のヴィクトリアが18歳で王位を継ぐことになった。ヴィクトリア女王は即位すると、生まれ育ったケンジントン宮殿を後にし、まずセント・ジェームズ宮殿に居を移す。そして3週間あまりが過ぎた7月13日、新しい元首を迎え入れる準備が整ったバッキンガム宮殿に、女王として初めて足を踏み入れた。以後175年の間、代々の英国君主たちがその治世をこの宮殿で過ごしている。
バッキンガム宮殿は、エリザベス女王が暮らす公邸であるとともに、女王をはじめとする王族たちが公務や執務を行う場でもあり、また王室の事務本部としての役割も担っている。海外からの賓客を迎えて歓待したり、公式行事を開催したりするだけでなく、最近ではウィリアム王子の結婚式や女王の在位60年を祝うダイヤモンド・ジュビリーなど、王室関連の祝典が催される際には、宮殿のバルコニーに王室メンバーがそろって姿を現し、国民と喜びを共有したりもする。


1731年、ジョン・シェフィールドの時代のバッキンガム・ハウス。
後年新たに建造された、バルコニーのある東正面棟を除く部分が完成している。
これらをもとに、後にジョン・ナッシュが増改築を行った。