マグナカルタってなんだ?
■大学受験の世界史の勉強中に、あるいは英国内の観光地、はたまたテレビの歴史番組などで「マグナ・カルタ」という言葉に触れたことのある人は少なくないだろう。日本の「百人一首カルタ」の「カルタ」がポルトガル起源の外来語である事実からすると、おおもとの語源は同じである可能性が高いが、この「マグナ・カルタ」はラテン語。英語で言い換えると「Great Charter」=「大憲章」のこと。
■英国史において、きわめて重要な意味を持つ憲章=「重要で根本的なことを定めた取り決め。特に、基本的な方針や施策などをうたった宣言書や協約」(大辞泉より)とされるが、いったい、どういうものなのか、ざっと見てみることにしよう。



 ポイント 1
いつ?1215年6月15日制定。
 ポイント 2
どこで?サリーのラニーミード(Runnymede)にて。テムズ河沿いにある場所で、ロンドン中央部から西へ20キロほど。エガムEghamのそば。
 ポイント 3
誰が?英国王ジョン(King John 1167~1216)と、ジョンに反発する、イングランド諸貴族との間で。
 ポイント 4
言語は?ラテン語。
 ポイント 5
構成は?前文プラス63条。その後、1216年、1217年、1225年…と、何度も修正が加えられ、すべての条文は廃止または訂正されるに至っている。しかし、アメリカ合衆国建国時など、後世に与えた影響は大きい。
 ポイント 6
オリジナルはどこにある?オリジナルとされるのは4部。そのうちのひとつが大英図書館にある。なお、写しも多く作られ、各地に残っている。
 ポイント 7
なぜ?その頃、イングランドはノルマンディをはじめ、フランスにも領土を有していた。1203年より、ジョンの王位継承をめぐるトラブルから時のフランス国王フィリップ2世との全面戦争が勃発。ジョンは連戦連敗の末、1214年ごろにはフランスにあった領土をほぼ失ってしまう。ところが、ジョンはこりずに、フィリップ2世との戦いを再開させようと画策、重税と従軍に対して強い不満を持つ貴族らの大反発に直面する。退位の危機にさらされたジョンは、王位に留まるかわりに、「マグナ・カルタ」に署名することで事態の収拾をはかった。
 ポイント 8
目的は?国王の権限を制限すること。国王の意思だけでは、「戦争協力金」などの名目で課税することはできない、イングランドの民(条文内では『Freeman』となっている)は国法か裁判以外によって、自由、生命、財産をおかされてはならない、といったことが制定された。また、国王が議会を召集しなければならないケースについても定められている。
 ポイント 9
意義は?国王といえども、法を尊重する義務があり、権限は制限され、権限の行使には議会を通すなど適切な手続きが必要であるといった点が明文化された。今日の「法の支配」、自由主義などにつながる概念の確立をうながしたとされている。 

 

 

リーディングルームで人類の知的財産に触れてみる!?

■リーディング・ルーム(Reading Room)=閲覧室を利用するには、リーダー・パス(Reader Pass)の申請が必要。面倒に思うかもしれないが、原則として国籍や身分の差別なく、発行されるこのパスさえあれば、大英図書館の莫大な知的財産に広くアクセスすることが可能になる!
■大英図書館内で直接申し込むことも可能だが、例えば、国外、あるいはロンドン以外の在住者でロンドンでの滞在期間は限られているというような場合、閲覧したい書籍を「予約」しておくことができる。オンラインで「事前登録(pre-registration)」を済ませれば、この「予約」ができ、実際に大英図書館に赴いた際、リーダー・パスを申請すると同時に「予約」しておいた書籍を閲覧することができるという便利なシステムだ。


■登録には、署名と本人であることを確認するための写真付き身分証明(パスポートなど)と、現住所を確認するための書類(光熱費請求書など)は必須。あとは学生証や、名刺など、なぜリーディング・ルームを利用したいのかを説明するものが必要。詳しくは、ウェブサイトでご確認のこと。 www.bl.uk/reshelp/inrrooms/stp/register/stpregister.html
■目的の書籍は、セント・パンクラス本館にあるとは限らない。手元に届けられるまでにかかる時間は、本館内にある場合は70分、分館にある場合は48時間。
■リーディング・ルーム内に持ち込める筆記用具は鉛筆(またはシャープペンシル)のみ。水、ガムなど一切の飲食物も厳禁。貴重品以外の持ち物はロウアー・グランドフロアのクロークルーム(無料)に預ける。なお、貴重品を入れるために用意されている大型の透明な袋(大英図書館ロゴ入り)は丈夫、かつ無料!