むせかえるほどの花の香りが漂う ウィズリーガーデンを征く
© RHS / Joanna Kossak

■ イングランドの国花でもある「花の女王」バラの開花を6月に控え、まもなく花盛りのシーズンを迎えようとしている英国。今号では、チェルシー・フラワーショーなどを主催している英王立園芸協会(RHS)が所有するガーデンのひとつ、ウィズリー・ガーデン(RHS Garden Wisley)を征くことにしたい。

●征くシリーズ●取材・執筆/本誌編集部

ロンドン中心部からギルフォード方面へ、50分ほど車を走らせた場所にあるウィズリー・ガーデン。かつては交通公共機関で向かおうとすると、キングストン駅からバスで約30分、さらに歩道橋をわたって高速道路(A3)を越えた後に10分弱歩かなければならず、車を所有していない人が気軽に訪れるにはかなりの苦労を強いられる地だった。ところが昨年、ウォーキング駅からの直通シャトルバスが開通。一気に誰もが足を運びやすいガーデンへと変わった。

王立園芸協会(RHS/Royal Horticultural Society)は、陶磁器メーカー「ウェッジウッド」社の創設者ジョサイア・ウェッジウッドの息子ジョンが数人の同志とともに、1804年に設立した英国初の園芸協会を前身としている。1861年にはヴィクトリア女王の夫アルバート公によって王室勅許(Royal)を授けられ、現在の名称「RHS」となった。今はチャールズ3世とカミラ王妃が総裁を務め、ガーデニングに関する団体組織としては最高峰に位置し、毎年5月に開催されるチェルシー・フラワーショーも同協会が主催している。

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ウィズリーは、RHSが所有する5つのガーデン――ウィズリー・ガーデン(サリー)、ローズムーア・ガーデン(デヴォン)、ハイドホール・ガーデン(エセックス)、ハーロウ・カー・ガーデン(北ヨークシャー)、ブリッジウォーター・ガーデン(マンチェスター)――の中で、最も古い歴史を持つ庭園だ。世界各国から収集した植物や果物が、英国の気候や土壌で育つかどうかを試験する場所として、1878年に小規模でスタートしたのが起源。やがて時代とともに拡張されていき、今では東京ドーム21個分もの敷地面積を誇る大ガーデンへ成長した。敷地内に建つ19世紀アーツ・アンド・クラフツ様式の屋敷にも見える建物(写真上)がその研究施設であり、現在も同所では調査・研究が続けられている(建物内は一部公開中)。


世界中から集められ、大切に育てられてきた花々を眺めながら歩くことができる100メートル少々のまっすぐ伸びたミックスド・ボーダーズ、南国の木々が生い茂るエキゾチックガーデン、夏が見頃のローズガーデン、高山植物が生えたロックガーデンなどが見どころ。また、敷地内の奥にはガラス張りの温室もあり、世界遺産の「キューガーデン」にある温室と比べるとやや小さいが、熱帯雨林気候の国でしか目にすることのできない色鮮やかな植物や、大きな滝も流れ落ちている。さらに、敷地の西側には深い森が広がり、小川沿いではバードウォッチングも楽しめる。

© RHS / Joanna Kossak

宮殿併設の庭園として1759年にオープンした王立植物園「キュー・ガーデン」に次ぐ、長い歴史と年間入場者数を誇るウィズリー・ガーデン。大型ガーデンセンターやショップは当然ながら、レストランやカフェも5ヵ所設けられており、もちろん園内でのピクニックもOKだ。

今年の初夏は、「英国で最もガーデニング・ファンに愛されている庭園」と名高いウィズリーまで、ぜひ足を伸ばしてみてはいかがだろうか。

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充実したガーデンセンターでショッピングを楽しむ

ウィズリーの大きな特徴のひとつは、花や野菜の種や苗、鉢植え、室内植物のほか、多種多様なガーデニング用品、そして王立園芸協会(RHS)と提携を結んでいる会社のグッズを購入できる、大型のガーデンセンター&ショップがあること。いつもとちょっと異なる良質な贈り物やお土産を手に入れたい人に人気で、ガーデンの入場料を払わなくても入店できることから、多くの観光客が訪れる。

Amelie Chocolat

現在はオンライン販売しかしていないベルギー・チョコレート専門店「Amelie Chocolat」(1986年創業)をはじめ、英国らしい美しいクラフトと品質、香りにこだわったハンドケアやボディケア、バス用品を製造する「Heathcote & Ivory」(2000年開業)のギフトコレクションは、日本へのお土産にも喜ばれそう。もちろん、1730年創業の老舗ガーデニング用品店「Burgon & Ball」の商品も充実している。花々を愛でた後は、ぜひショッピングも満喫してほしい。

Heathcote & Ivory
Burgon & Ball


Travel Information


RHS Garden Wisley
Woking, Surrey GU23 6QB
Tel: 01483 224234
www.rhs.org.uk/gardens/wisley
【オープン時間】
ガーデン: 月~金曜 10:00〜18:00, 土・日曜 9:00〜18:00
ガーデンセンター: 月~土曜 9:00〜18:00, 日曜11:00〜17:00
【料金】 £16.50
【アクセス】
電車:ウォーキング駅からガーデン行きの専用シャトルバスで25分。バスは20分間隔で運行(12:30~14:30は運休)。

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週刊ジャーニー No.1291(2023年5月18日)掲載