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ギルドホール・アートギャラリー

■ 金融街として知られるロンドンの中心部、ザ・シティ(シティ・オブ・ロンドン)。その行政の中心地であり、市庁舎「ギルドホール」(写真左端)が建つ広場には、同地区が所有する美術品が収蔵・展示されている「ギルドホール・アートギャラリー」(同中央)がある。今回は、この小規模ながらも興味深いロンドンの歴史を知ることができる美術館を紹介したい。

●征くシリーズ●取材・執筆・写真/本誌編集部

アートギャラリーの向かいには、新ギルドホールが建っている。現在、通常業務はこの建物で行われており、古いギルドホールは式典での利用のほか、イベントスペースとしても貸し出されている。

ロンドンの市庁舎といえば、ロンドン市長(Mayor of London)が拠点とする近代的なシティホールを思い浮べるかもしれない(今年1月、サザークからシティ空港近隣へ移転)。だが、もう一人のロンドン市長、つまり自治権を有するシティの市長(Lord Mayor of London)の拠点がギルドホールであることを知っている人は、多くないのではないだろうか。起源は12世紀前半までさかのぼり、行政業務だけでなく、政治や宗教面においても重要な役割を果たしてきた。「9日間の女王」として有名なジェーン・グレイの処刑が可決された裁判も、このギルドホールで行われている。同所は15世紀に大きく改築され、1666年のロンドン大火や第二次世界大戦中の空爆で一部焼失したものの、その都度修復されて現在に至っている。

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この歴史的建物の横に建つのが、ギルドホールと調和するように設計されたギルドホール・アートギャラリーだ。シティが所有する約4000点の絵画や彫刻作品を所蔵・展示している美術館で、1885年にオープン。当時のリヴァプール、マンチェスター、リーズといった産業革命で大きく発展したイングランド北部の都市では、地方自治体の支援によりアートギャラリーが次々と開館し、大成功を収めていた。それに触発されたのである。
ところが1941年、ドイツ軍による空爆で同館は全壊。幸いにも、美術品の多くはウィルトシャーの地下倉庫へ避難させていたために焼失を免れたが、アートギャラリーの再建が決定するまでに40年近くの月日を費やすことになった。
再建するにあたり、いくつか変更点が加えられた。そのひとつが、展示スペースを増設するため、地上2階建てだったアートギャラリーに地下階をつくることだった。そうして1988年、地下を掘り進んでいたところ、地中で驚くべきものを発見する。それは古代ローマ時代の遺構――円形劇場跡であった。なんと2000年ほど前、同地には大型の円形劇場(コロッセオ)があり、ギルドホールはその上に建造されていたことがわかったのである。


新たな考古学的発見は大きな話題となり、この遺構を取り入れた形でアートギャラリーを再建しようと再設計を迫られた。そして予定より大幅に遅れた1999年8月、ギルドホール・アートギャラリーはエリザベス女王の臨席のもと、再オープンを迎えている。発掘された地下の円形劇場跡は考古学調査を終えた後、2002年に公開されており、アートギャラリーを訪れたら誰でも見学することが可能だ(下のコラム参照)。
同館内はかなりコンパクトなので、隙間時間にサッと見て回ることができる。とくにヴィクトリア朝時代の絵画コレクションは秀逸で、ロセッティやミレイなどのラファエル前派の作品が豊富だ。また、ナショナル・ギャラリーの人気作品「レディ・ジェーン・グレイの処刑」の小型版もひっそりと飾られているので、ぜひ見逃さないでいただきたい。

ラファエル前派の画家の作品が充実し、小規模ではあるが見ごたえのある絵画コレクションとなっている。
中央奥に見える絵画が、ジョン・シングルトン・コプリーの「ジブラルタルにおける浮遊砲台の敗北」(1782年)。英国領ジブラルタルを奪取しようとするスペイン&フランス軍を撃破した様子が描かれている。英国最大級の作品で、これを飾るために吹き抜け様式に設計された。
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古代ローマ時代の円形劇場跡
The Roman Amphitheatre

 紀元前4世紀ごろ、ケルト系ブリトン人の住む地「ブリタニア」に、4万からなるローマ軍が侵攻。部族間の抗争が激しく、国家として統一されていなかったブリタニアは、あっという間にローマ軍に撃破された。そして彼らがテムズ河北岸に建設した都市がロンディニウム(Londinium)、のちのシティ・オブ・ロンドンの原型で、「ロンドン」という都市名の起源でもある。


上の❶を見ればわかるように、当時の町はロンドンブリッジでテムズ河南岸と結ばれ、ローマ帝国の都市に倣って政治・商業・宗教の中心である公共広場(Forum)のほか、神殿、浴場、円形劇場が建っていた。ギルドホールが円形劇場の真上に建造されたことは偶然とは思えないが、残念ながら資料がないため詳しいことはわからない。
この円形劇場は当初木造だったが、2世紀半ばに石造へと改築、4世紀初めには閉鎖されている。アートギャラリーの地下で公開されているのは、競技場(アリーナ)へと入っていく入口付近。剣闘士らが入退場する際のゲートだったと思われる(❷)。

 会場は7000~1万人を収容でき、観客は木製のベンチに座って、剣闘士の腕を競う試合や動物同士の戦い、犯罪者の処刑などを鑑賞した。
ちなみに、ギルドホール前の広場の地面をよく見ると、円形の黒線が引いてあるのに気付くだろう(❸)。これは、円形劇場のアリーナ部分に沿って引かれており、その大きさがわかるようになっている。

Travel Information ※2022年10月10日現在


Guildhall Art Galleryギルドホール・アートギャラリー
Guildhall Yard, London EC2V 5AE
Tel: 020 7332 3700
www.cityoflondon.gov.uk
開館時間
月~日曜10:30〜16:00
入場料
入場無料(常設展示+円形劇場跡のみ)
【 特別展示「Inspired!」を開催中 】
12月23日まで/£8
※ウェブサイトでは「要事前予約」となっているが、混雑することはないので、予約なしで当日ふらりと立ち寄ってもOK。
※火・木・金・土・日曜には、無料の館内ガイドツアーが催行されている(12:15、13:15/所要30~45分)。

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週刊ジャーニー No.1262(2022年10月20日)掲載