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ペットワースハウス
©National Trust Images/Andrew Butler

■ 南イングランド・ウェストサセックスの小さな町、ペットワースにある旧ノーサンバランド伯爵家(現・公爵家)の私邸「ペットワースハウス」。今号では、絵画や彫刻がずらりと並ぶ美術館のような同邸宅を征くことにしたい。

●征くシリーズ●取材・執筆/本誌編集部

ロンドン中心部から車で約2時間、公共交通機関だとナショナルレールとローカルバスを駆使してやはり2時間、アンティークショップなどが軒を連ねる小さな町ペットワースの中心に、今回訪れた「ペットワースハウス」は建っている。

その起源は古く、かつては王室所有であったが、国王ヘンリー1世の亡き後に元王妃が自身の弟に贈呈。彼はイングランドとスコットランドの国境地帯を収める有力貴族、ノーサンバランド伯爵家の娘と結婚し、ペットワースハウスはノーサンバランド家の所有となった。

しかし、ノーサンバランド家の本拠地は北イングランドの「アニック城」であり、ペットワースハウスが使われることは多くなかったが、15世紀後半のエリザベス1世の時代、カトリックを信仰するスコットランド女王メアリー・ステュアートがイングランドへ亡命してきたことで、状況は一変。メアリー女王の陣営について反旗を翻した上、英国国教会への改宗も断固拒否したことから当主は斬首刑となり、私財も没収された。アニック城を追われてペットワースハウスへ封じられた一家は、それ以降、1766年に公爵位を得て再びアニック城へ戻るまで、ペットワースハウスがノーサンバランド家の住まいとなっている。

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改修を繰り返して建物が現在の姿になったのは、そうした「幽閉」中の17世紀後半のこと。ノーサンバランド家の直系男児が絶え、一族の娘と婚姻を結んだ第6代サマセット公爵は、「ヴェルサイユ宮殿」への憧憬からペットワースハウスをフランス・バロック様式を取り入れた邸宅へと改築。その後、このサマセット公爵の血筋にあたり、「美術品コレクター」として有名だった第3代エグレモント伯爵が絵画や彫刻を次々と収集し、また多くの芸術家のパトロンとなって資金援助をしたことで、今の美術館と見紛うような「芸術の館」が完成した。

エグレモント伯爵が支援した中でもよく知られているのが、19世紀を代表する風景画家、J・M・W・ターナーとジョン・コンスタブルだ。同世代でライバル関係でもあった両者だが、伯爵はとくにターナーを可愛がった。伯爵の招きでターナーはたびたび同屋敷に滞在して各部屋や周辺風景を描いており、その一部はペットワースハウスにも飾られている。展示されている彼の絵を見ると、現在とまったく同じ室内の様子が見て取れるものの、作品の中に描かれた絵画の方がかなり色鮮やか。実はこの色彩がオリジナルであり、今目にしている絵はシャンデリアやタバコなどの煙によって、200年の時の流れの中で汚れてしまっている状態なのだという。

昨年の分もまとめて夏がやって来たのではないかと思えるほど、日差しの強い夏日が続いている英国。フライトのキャンセルも多く、「せっかく日常が戻って来たのに、今年も英国に閉じこもりか…」と夏の予定がぽっかり空いてしまった人は、ぜひペットワースハウスまで足を延ばしてみてはいかがだろうか。


The Somerset Room/サマセット・ルーム

© National Trust Images/Andreas von Einsiedel

邸宅を現在の姿へと変えた第6代サマセット公爵の名前にちなんだ部屋。彼が収集したティツィアーノやクロード・ロランなどの絵画が飾られている。当時は隣の「The Square Dining Room」とつながった大広間だったが、のちに2つに分けられた。

The North Gallery/北ギャラリー

© National Trust Images/Andreas von Einsiedel

美術品コレクターだったエグモント伯爵によって、収集した絵画や彫刻作品を展示するギャラリーとしてつくられた部屋。ターナー、ヘンリー・フュースリ、ウィリアム・ブレイクなど、英国絵画が多く飾られている。

The Carved Room/彫刻の間

© National Trust Images/Andreas von Einsiedel

木彫装飾を得意とする彫刻家、グリンリング・ギボンが手がけた部屋。彼の素晴らしく繊細な腕前は、「外を通る馬車の振動で壁に飾られた木彫りの花が揺れる」とまで言われた。

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The Grand Staircase/大階段

© National Trust Images/Andreas von Einsiedel

1714年の火災後につくられた階段。壁画に描かれている黄金の馬車に乗った女性は、第6代サマセット公爵の妻で、この屋敷の「正式な主人」は彼女であることが示唆されている。

ゆったり自然美を楽しむ
ケイパビリティ・ブラウンの英国式風景庭園

 18世紀半ばにブレナム宮殿やチャツワースといった、英国きっての名邸宅の庭園を設計した造園家、ランスロット・"ケイパビリティ"・ブラウン(Lancelot "Capability" Brown)。英国の風景を一変させたといわれる人物で、生涯に手がけた庭園数は170超。造園の依頼を受けてカントリーハウスやマナーハウスを訪れると、どんな庭でも開口一番、「さらに素晴らしい庭にできる『ケイパビリティ(可能性、将来性)』がある」と言うのが彼の口癖で、ここからニックネームがつけられた。
 なだらかな起伏の芝生地帯、茂み、木立、盛土、そして小川をせき止めてつくる湖水などが絶妙のバランスで配置され、周辺に広がる田園風景をも調和させた1枚の風景画のような風景式庭園(landscape garden)」が得意。ペットワースの庭園も彼が手がけている。

プレジャーガーデン(The Pleasure Garden)に人工的につくられた丘の上に建つ、古代ギリシャのイオニア式ロタンダ(円形建物)。

ペットワースハウスの西側に広がる、広大な鹿庭園(The Deer Park)につくられた人工の池。鹿のフンが散乱しているので、足元にはご注意を。

Kyo Service
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らいすワインショップ
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奈美デンタルクリニック
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Travel Information ※2022年7月19日現在

Petworth House & Park ペットワースハウス
Petworth, West Sussex, GU28 9LR
Tel: 01798 342207
www.nationaltrust.org.uk/petworth-house-and-park
開館時間
〈夏季〉ハウス 10:30~16:30
〈冬季〉ハウス 10:30~15:30
※The Deer Parkは8:00、The Pleasure Gardenは10:00開園
入場料
£16
アクセス
〈電車〉 プルボロー(Pulborough)駅から1番バスに乗り15分、Market Squareで下車
〈車〉ロンドン中心部から約2時間


週刊ジャーニー No.1249(2022年7月21日)掲載