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イングランドのカトリック総本山 ウェストミンスター大聖堂を征く

■国会議事堂に隣接する世界遺産のひとつ、ウェストミンスター寺院(Westminster Abbey)。誰もが知る観光名所であるが、それと混同されやすいのがヴィクトリア駅の近くに建つウェストミンスター大聖堂(Westminster Cathedral)だ。今号では、イングランドとウェールズにおける「ローマ・カトリック教会の総本山」とされる大聖堂を紹介したい。

●征くシリーズ●取材・執筆・写真/本誌編集部

昨年5月末、ウェストミンスター大聖堂がにわかに話題となった。その理由は、ボリス・ジョンソン首相が3度目となる結婚式を同所で挙げたからである。その際に世間を騒がせたのが、「2度の離婚歴があるにもかかわらず、なぜ挙式できたのか?」。ウェストミンスター大聖堂はカトリック教会であり、カトリックでは離婚歴のある人物が教会で結婚式を挙げることを認めていないからだ。ちなみに、この問題について担当弁護士は「カトリック教徒の場合、以前の婚姻がカトリック教会でカトリック神父のもとに結ばれていなければ、再婚による挙式もOK」と都合のよい「言い訳」を発表し、これまた大きな批判を浴びた。

こうして思わぬ注目を浴びてしまったウェストミンスター大聖堂だが、完成したのは1903年と歴史は浅い。
ヘンリー8世が、離婚を禁じていたカトリック教会から離脱して英国国教会を創設したことで、カトリック系の教会や修道院はイングランドから姿を消した。その後、やっとローマ教皇庁との関係が修復され、英国でのカトリック復権が叶ったのは300年以上を経た19世紀半ばのことである。1850年にはウェストミンスター地区に初代カトリック大司教が誕生。その初代であるニコラス・ワイズマン枢機卿を祀る聖堂として、監獄跡地に建てられたのが、この大聖堂だ。

東ローマ帝国(ビザンツ帝国)で流行したビザンティン様式を得意とした建築家、ジョン・フランシス・ベントレーが手掛けた建物の外観は、紅白が交互になった「ポリクロミア(縞模様)」と呼ばれる石造りと複数のドームが特徴。大聖堂内に足を踏み入れると、主祭壇へ向かって立ち並ぶ色鮮やかな大理石柱や、身廊の両側に並ぶ黄金のモザイク画で飾られたチャペルが目に入る。ただ驚くべきことに、肝心のドームが連なる天井部分には装飾が一切見当たらず、まるで星のない夜空のように闇色の石で覆われているだけである。非常にアンバランスで不思議な印象を受けるが、実は予算不足で未完成のままなのだという。

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ウェストミンスター寺院やセント・ポール大聖堂のように王族や偉人は埋葬されておらず、歴代の大司教が眠るという観光地としては「地味」な場所だが、カトリック信仰の地としては名高い。それは魔女狩りが横行していた17世紀、プロテスタント系の清教徒オリバー・クロムウェルが処刑を命じた「最後のカトリック司祭」で、後に聖人に列せられたジョン・サウスワース司祭が永眠していることが大きいだろう。サウスワース司祭は5度の投獄の末に絞首刑に処された後、遺体は信者によって秘密裏にフランスへ運び出されたものの、1920年代に英国へ「里帰り」し、今は大聖堂内のチャペルで静かな眠りについている。


1977年には、エリザベス女王の即位25周年を祝うシルバー・ジュビリーの一環として、当時の大司教の招きに応じて女王がこの大聖堂を訪れている。英国君主がカトリック教会を訪問したのは、ヘンリー8世が行った宗教改革以降では初めてのことで、まさに歴史的な瞬間であった。さらに、1981年にはローマ教皇ヨハネ・パウロ2世、2010年にも同じくローマ教皇ベネディクト16世が同所で特別ミサを開いており、2人のローマ教皇がミサを行った英国内では唯一の場所でもある。

 空へとひときわ高く伸びた鐘楼の頂上は展望台になっており、ヒッチコックの映画「海外特派員」(1940年)のロケ地にもなっている。近くへ出かける予定がある人は、足を伸ばしてみるのもいいかも。

タワーに登ってヴィクトリア駅周辺の眺望を楽しむ!

© Diliff

 ウェストミンスター大聖堂は、天高くそびえる鐘楼を備えている。塔の高さは約83メートル、頂上はバルコニー式の展望台になっており、ヴィクトリア駅周辺の景色を楽しめる。この展望台はヒッチコックの映画「海外特派員」で、主人公が突き落とされそうになった場所。映画ファンに人気のスポットでもある。パンデミック以降は閉鎖されていたが、近々再オープン予定。ウェブサイトで告知されるそうなので、気になる人は要チェック!

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南方面・真下

© Andreas Praefcke

大聖堂のドーム天蓋を見下す。この3つのドームが煌びやかなモザイク画で飾られていたら、さぞかし美しかっただろう…。

南方面

© Andreas Praefcke

ピムリコ方面を望む。中央奥には、巨大複合施設として生まれ変わったバタシーパワーステーションが見える。

北東方面

© Andreas Praefcke

センター方面を望む。手前の緑地はセント・ジェームズ・パーク、その奥にはBTタワーが見える。

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奈美デンタルクリニック
Sakura Dental

Travel Information ※2022年7月5日現在

Westminster Cathedral
Cathedral Clergy House 42 Francis Street, London SW1P 1Q
https://westminstercathedral.org.uk
開場時間
月~金曜 7:30~18:30(土曜は19:00まで)
日曜 8:00~20:00
入場無料
アクセス
ヴィクトリア駅から徒歩5分


週刊ジャーニー No.1247(2022年7月7日)掲載