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海辺の街、ブライトンの離宮 ロイヤル・パビリオンを征く
© Simon Dack

■ 稀代の「快楽放蕩王」と呼ばれた、英国王ジョージ4世。今号では、彼が愛した海辺の街ブライトンに建つ、自慢の離宮「ロイヤル・パビリオン」を征くことにしたい。

●征くシリーズ●取材・執筆・写真/本誌編集部

ロンドンから鉄道で1時間ほどの場所にある、英国有数の海辺の観光地、ブライトン。駅を出て、正面を走るクイーンズ・ロードを真っ直ぐ下っていけば、約15分で浜辺までたどり着く。海沿いにはバルコニー付きのリゾートホテルが立ち並び、海へ向かって右側には1866年に建造され、現在は錆びた鉄筋だけがその面影を残す桟橋跡「ブライトン・ウェスト・ピア」、左側には1899年に新たに建造された桟橋「ブライトン・パレス・ピア」がある。パレス・ピアを越えたさらに奥には、白亜の断崖「セブンシスターズ」の姿もうかがえる。

小さな漁村だったブライトンが発展しはじめたのは、18世紀半ばのこと。ある医師がブライトンの海水から薬を生成して患者に処方し、それが「非常に効く」と話題になり、療養地として脚光を浴びたことが始まりだ。なかでもブライトンを深く愛したのが、国王ジョージ3世の長男であるジョージ皇太子(のちのジョージ4世)で、1783年に初めてブライトンを訪れて以来、休暇の多くを同地で過ごすようになった。

ジョージ4世(=右)といえば、快楽王、放蕩王、最低王という様々な「別名」で呼ばれたほど、少年時代から酒やギャンブル、女性に溺れ、趣味に遊興にと贅の限りを尽くす浪費癖で悪名高い人物だ。ただ、一方で博学でもあり、芸術や建築への造詣が深く、彼が資金を気にかけることなく「理想の実現」を追求したおかげで、リージェント・ストリートやバッキンガム宮殿といった今のロンドンの街並みが完成したとも言える。


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そのジョージ4世が皇太子時代にブライトンを初訪問したとき、上流階級の人々が滞在するような宿泊施設も屋敷も当然ながらなかった。仕方なく彼は小さな下宿屋を貸し切ったが、その下宿屋がロイヤル・パビリオンの前身となっている。ブライトンを気に入ったジョージ4世は宿周辺の一帯をすぐさま買い取り、離宮の建設を命じた。当初の外観は白亜の新古典主義様式、内観はイタリアのバロック様式だったものの、中国の珍しい壁紙を入手したことで大きく方向転換。内装を当時人気のあったシノワズリー(中国趣味)へと全面改装させた。

やがて父王の健康状態が悪化したことにより、1811年に摂政(リージェント)の座に就くと、調子に乗って離宮をさらに大改築。リージェント・ストリートなどを手掛けた建築家ジョン・ナッシュに依頼し、オリエンタルでエキゾチックな外観を求めてインドの宮殿風デザインに変更させている。

何も知らずにロイヤル・パビリオンへ足を進めたら、西洋と東洋を融合させながらも強く中華風を打ち出した派手な内装に驚くことだろう。赤と金色で溢れ、中国の武人やドラゴン、ヘビ、ハスの花などのモチーフでかたどられた凝ったシャンデリアは目を奪われる。とくに晩餐室の1トンに及ぶシャンデリアは必見で、取材当日も多くの人々が部屋に足を踏み入れた途端、「わぉ! すごい!」と感嘆の声をあげながら天井を見上げていた。紙面ではそのシャンデリアの一部しか紹介できていないので、ぜひ実際に訪れて巨大なドラゴンが飾られた逸品を確認していただきたい。ジョージ4世の滞在中、ロイヤル・パビリオンでは連日連夜のように音楽会や晩餐会が開かれたが、おそらく離宮に招待された貴人たちも目を大きく見開いてシャンデリアを眺めたのではないだろうか。

ロイヤル・パビリオンの建造に加え、ロンドンとを結ぶ鉄道が開通したこともあり、19世紀にリゾート地として急速に発展していったブライトン。晴れた日に海辺を散歩するのもいいが、同地を訪れたら、悪名高い快楽放蕩王の趣味が詰まった豪奢な離宮へ足を向けてみるのもいいだろう。


The Music Room/ミュージック・ルーム

© Jim Holden

中国皇宮内の「玉座の間」をイメージした部屋。様々な芸術への造詣が深かったジョージ4世は音楽も愛し、自身専属の楽団をこの部屋へ呼び、ヘンデルやイタリア・オペラを演奏させて客人をもてなした。1823年にはイタリアのオペラ作曲家、ロッシーニもここでパフォーマンスを行っている。

The Long Gallery & Staircase/回廊と階段

エントランスホールから続く回廊は、笹などの植物が描かれたピンク色の壁が特徴。回廊の脇に置かれているイスやチェストなどの家具、階段のレールは竹製に見えるが、実は鉄製。職人の高い技術力がうかがえる。

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The Banqueting Room/晩餐室

ジョージ4世が愛人や招待客を呼んで、晩餐を楽しんだ部屋。壁には、西洋風の筆致で描かれた中国絵画が飾られている。シャンデリアの重量は1トンにも及び、天井に固定されているため床に下ろすことはできないという。部屋のあちこちにドラゴンが飾られている。

The Saloon/大広間

© Jim Holden

晩餐の後に集まり、談話を楽しむ部屋。ソファを中心に円形に部屋はデザインされており、シルクをふんだんに用いた新古典主義様式になっているが、カーペットには鳳凰とハスの花など中国風のモチーフが使われている。

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Travel Information ※2022年6月14日現在

Royal Pavilion ロイヤル・パビリオン
4/5 Pavilion Buildings, Brighton BN1 1EE
https://brightonmuseums.org.uk/royalpavilion
Tel: 03000 290900
開館時間
4 ~9月 9:30~17:45
10~3月 10:00~17:15
入場料
£17
アクセス
ブライトン駅から徒歩15分

かつての離宮厩舎を改築したミュージアム
Brighton Museum & Art Gallery
開館時間
火~日曜 10:00~17:00
入場料
£7.50


海辺のまわる円盤型展望台
British Airways i360

1866年に完成したウェスト・ピアは、パレス・ピアと並んでイングリッシュ・ヘリテージから第1級の歴史指定建造物に認定された、英国内に現存する貴重な桟橋だったが、2002年の冬に嵐によって崩壊。修復を待たずに、翌年には焼失してしまった。現在は鉄筋だけが残されているが、その向かいの浜辺に2016年に建設されたのが、ブライトンの海辺の景色を360度パノラマで楽しめる展望台「i360」だ。

 

ロンドン・アイの設計者がデザインした展望台は、まるでUFOのような円盤スタイル。ゆっくりと横回転しながら約137メートルまで上昇し、また回転しながら下降していく。所要約20分で、展望台の中にはバーがあり、スパークリング・ワインを飲みながら絶景を楽しむことができる。

 

Lower Kings Road, Brighton BN1 2LN
チケット代:£17.50(展望台のみ)
£24.75(ドリンク付き)
https://britishairwaysi360.com/

週刊ジャーニー No.1244(2022年6月16日)掲載