献立に困ったらCook Buzz
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モダンなリゾート・ホテルへの変貌

 一八五一年、ケント出身の土木技師、ジェームズ・ホッジによりペニーヒルに邸宅が建てられたのは、今から約百六十年前のことだ。
一八七九年に当主となったのは、銀行家、ルイス・スコット。ドイツ・フランクフルト出身の彼がわざわざこの地に家を持ったという事実に、彼のこの地への強い愛着が感じられる。スコットが増設した、当時の富の象徴でもあった温室は、後に同ホテルの誇る巨大スパへと変身を遂げた。
その後も、バースの石を使ったネオ・チューダー朝スタイルへの改装、フランスの城、シャトー・デ・ヴィランドリー(Chateau de Villandry)を真似た、ロマンティックなテラスが作られるなど、歴代のオーナーそれぞれの愛情が注がれる。
一九七二年には、ついにホテルとしてオープン。さらに、現在の親会社、エクスクルーシブ・ホテルズが改装を重ね、今に至る。
ミシュラン一つ星を獲得するレストラン「ザ・ラティマー(The Latymer)」では、まるでアートのような盛り付けの料理を味わうことができる(次頁参照)。このほか、メインキッチンの中央に位置し、シェフらが立ち働く様子を見ながら食事ができるユニークなダイニング・スペース(六―八人用のテーブル)「シェフズ・テーブル(Chef's Table)」や、軽食、アフタヌーン・ティーが楽しめるややカジュアルな「アスコット・バー(Ascot Bar)」などもありチョイスは豊富。天気がよければ、池のそばにあるテラスでの食事や、バーベキューも可能だ。
ただ、客室やレストランのレベルの高さもさることながら、このホテルで特筆すべきはスパである。
二〇〇二年にオープンした、広大な土地に設けられたスパは、総面積四千百八十平方メートル(テニスコート約十六コート分)で英国最大級と言っていい。スパ、サウナ、プール、ジム、カフェ、至福のマッサージが受けられるトリートメント・ルームなど、贅沢な設備を完備。「Cond Nast Traveller Readers」など人気の旅行情報誌や、数々のビューティ系サイトで高評価を得ているのにも納得できる。その充実ぶりは次の頁を参照していただきたい。
この冬は、英国全土を大寒波が襲い、とりわけ凍てつく寒さが続いた。その厳しい冬も終盤に入り、日が長くなるのを実感する今日この頃。緑に囲まれたペニーヒルまでちょっと車を走らせ、穏やかな時間の中でスパや食事を満喫し、優雅に癒されてみてはいかがだろうか。


全部で123の客室があるが、その内装は全て異なっており、2つとして同じ部屋はない。
こちらのスイート・ルームには「枕メニュー」なるものがある。
頭や首にフィットする空気系、一晩中、頭寒足熱を約束するヒンヤリ系など、
快眠を誘う6種類から好みの枕を選ぶことができる。