王妃に捧げられたピザ

  ナポリは、果たして「見るまで死ぬな」の言葉にふさわしい都市かどうか。この問いに対する答えをみつけるべく、取材班はナポリ空港へと飛んだ。
 ナポリまではロンドンから約2時間半のフライトだ。
 午前11時半。ナポリに到着した取材班をまず出迎えてくれたのは熱い風だった。取材に出かけたのは6月初旬だったが、さすが南イタリア、降り注ぐ太陽の光の量が英国とは圧倒的に違う。
 まずはホテルに荷物を置き、行動開始。何はともあれ、「腹が減っては…」とばかりに、ナポリ名物のピザを語るうえで欠かせない店、「ブランディBrandi」(1780年創業)へと向かった。ピザの発祥地とされるナポリで、最も有名なピザといえばマルゲリータ(margherita)。同店の前身「ピエロ・エ・バスタ・コジ」で考案されたもので、1889年、イタリア王国のウンベルト1世の妻である、マルゲリータ王妃に献上されたのが始まりという。このピザ、噂に聞いていた通り、生地は薄めだったが、パリパリ系ではなくモチモチしている! その生地の上でつやつやと輝いていたのは、味わいに深みのあるトマトソースの赤、トロリと溶けたモッツァレラ・チーズの白、そしてバジルの緑。イタリア国旗と同じ配色のきわめてシンプルな取り合わせだ。日本や英国で食すピザが、米国のピザチェーン店経由でどれだけ『アレンジ』されて、本家とかけ離れてしまっているかを思い知らされたのだった。
 エネルギーを充電し、早速取材をスタート。今回のナポリ取材は「3本立て」だ。ナポリ市内の見どころに加え、ポンペイの遺跡、そしてカプリ島を訪れるという計画である。
 ナポリは、ローマやフィレンツェに比べると、「絶対見逃せない歴史的建造物」が少ない。とはいえ、古い歴史を有する都市だけに、主要なものだけを取り上げたとしても両手では足りない。
 限られた時間の中でまわることを考え、ナポリで「ぜひ行っておきたい」ポイントを敢えて独断で絞ってみると、次の5ヵ所になるだろうか。
①国立考古学博物館
ポンペイ見学の前に予習を兼ねて、ぜひ訪れておきたい場所。ポンペイから出土したものも数多く展示されている。
②国立カポディモンテ美術館
ナポリ中心部から少し離れた高台に建つ、旧王宮内にある美術館。ベルサイユのトリアノン庭園をモデルにしたという、広大な庭園の中にたたずむ。1400年代の宗教画や、ナポリ派と呼ばれた画家たちの作品をはじめ、イタリア絵画のコレクションが揃っている。また、かつてはマイセンやセーブルなどと並ぶ高い評価を受けていたカポディモンテ焼の作品も鑑賞することができる。
③ヌオーヴォ城
13世紀にアンジュー家が基礎を築き、15世紀にアラゴン家が大幅に改修した城。中は市立博物館になっており、絵画、彫刻、銀器などが展示されている。
④王宮
17世紀に建てられた宮殿。ただし、ナポリ王が実際に住んだのは18世紀になってからだったという。絵画などの美術品のほか、家具や陶磁器といった、往時の華やかさを伝えるコレクションが見学できる。
⑤デッローヴォ城(卵城)
12世紀に建てられた要塞。入場無料というのもうれしい。ここからはナポリ市内、また、ナポリ湾やヴェスヴィオ山のすばらしい眺めが楽しめる。
 もしも、この5ヵ所のうち、さらに取捨選択する必要に迫られたとすれば、①国立考古学博物館と⑤デッローヴォ城(卵城)をお勧めしておきたい。例えば、この2ヵ所を初日に訪れ、2日目をポンペイの遺跡見学、3日目をカプリ島めぐりにあてれば、中身の濃い2泊3日の旅となることをお約束する。

 


ナポリに短期滞在し、市内およびポンペイの遺跡を観光するのに便利でお得な「Artecard」=写真左上は裏面、右下が表面。3日間有効で大人27ユーロ(18~25歳は20ユーロ。18歳未満については窓口でお問い合わせを。また、1週間有効のものもある)。www.campaniartecard.it
主要な博物館、遺跡など、最初の2ヵ所は無料、3ヵ所目以降は半額で入場できる。また、ナポリ市内の公共交通機関、およびナポリ~ポンペイ間の鉄道もこのカードで乗ることができる。
なぜか、空港の観光局カウンターでは買えず、購入できるのは中央駅でのみ。同駅の地下にあった観光局カウンターを探し出してようやく購入したが(支払いは現金のみなのでご注意を)、結局、トータルで1時間ほど無駄にしてしまい、残念。
※情報はすべて2011年11月10日現在のもの。
■ナポリのタクシーについて■
かなりの確率で、多めの金額をふっかけられると覚悟する必要あり。メーターを使ってくれるよう頼む、または、主要ポイント間(ホテルと空港間など)は料金リストが用意されているので、それを見せてくれるよう頼むなどして、自己防衛策をとるしかない。