慶應義塾ニューヨーク学院  ロンドン説明会 9月20日 (金) 6 PM - 7:30 PM
慶應義塾ニューヨーク学院  ロンドン説明会 9月20日 (金) 6 PM - 7:30 PM

© ROH 2016. Photograph by Sim Canetty-Clarke
(写真左)© 2018 ROH. Photograph by Luke Hayes/(写真右)© ROH

コベントガーデンの一角に建つ、4階建ての円形観客席を有する名門歌劇場、ロイヤル・オペラハウス。
300年近い歴史を誇り、チャールズ皇太子がパトロンを務めるロイヤル・オペラ団、エリザベス女王がパトロンを務めるロイヤル・バレエ団の本拠地となっている。今号では、今シーズンの注目の演目とロイヤル・バレエ団で活躍する日本人プリンシパルを紹介したい。

●征くシリーズ●取材・執筆/本誌編集部

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受け継ぐ300年の歴史と伝統

ロイヤル・オペラハウスの歴史は古い。ロンドンの劇団の役者でマネージャーでもあったジョン・リッチなる人物が、1732年に建てた「シアター・ロイヤル」がその始まりだ。リッチは当時、庶民に人気のあった歌芝居「乞食オペラ」の上演で成功をおさめ、その資金をもとにシアター・ロイヤルを建設。当初はパントマイムや芝居の上演が主流だったが、やがてドイツの作曲家ヘンデルが同劇場のために書いたオペラを上演するようになり、上流階級にも受け入れられていった。

オペラやバレエが上演される機会が増えたことから、観客席が設計しなおされ、1847年に新歌劇場「ロイヤル・イタリアン・オペラ」としてリニューアル・オープン。しかしながら火災で焼失してしまい、現在のロイヤル・オペラハウスの原形である劇場が建てられたのは、1858年になってからのことである。

老朽化が進み、1990年代と2010年代後半に大規模な改修工事が行われたものの、舞台装置の改良、スタジオや楽屋、オフィス、レストラン&バー、ロビーなどの改善・新設にとどまり、劇場における重要な要素のひとつである観客席は、1858年に設計された当時のデザインのまま。「古き良き伝統は受け継いでいく」というのが、ロイヤル・オペラハウスの信念なのだ。

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戦う黒髪のプリンシパルたち

現在、ロンドンにはイングリッシュ・ナショナル・オペラ&バレエ団の本拠地「ロンドン・コロシアム」(1904年建設)のほか、サドラーズ・ウェルズ、バービカン・シアターなど、オペラやバレエを頻繁に上演する会場がいくつか存在する。劇場ごとに独自の個性があり、演目も異なる中、長年培われた伝統を誇るロイヤル・オペラハウスは、やはり別格。近年はモダンな演目にも積極的に取り組んでいるが、「フィガロの結婚」「魔笛」「椿姫」といったオペラの傑作や、「眠れる森の美女」「白鳥の湖」「くるみ割り人形」などの古典バレエの名作が、定期的に上演されている。

1989年に熊川哲也氏が東洋人として初めてロイヤル・バレエに入団して以降、吉田都氏、平野亮一氏、高田茜氏ら日本人プリンシパル(バレエ団のトップダンサー)が、今も素晴らしい演技を披露している同劇場。敷居が高いイメージがあるけれど、この機会にぜひ足を運んでみて欲しい。

英国ロイヤル・バレエ団
日本人プリンシパルたちの名演を観に行こう!

バレエ団において最高位のダンサーに贈られる称号、プリンシパル。2016年、約20年ぶりに日本人男女2名が同時にプリンシパルに昇格した。

高田氏は1990年生まれ、東京都出身。身長162センチ。ロシアの名門バレエ学校、ボリショイ・バレエ・アカデミーに留学した後、2008年にローザンヌ国際バレエ・コンクールで入賞、翌09年に英ロイヤル・バレエに入団。10年にファースト・アーティスト、11年にソリスト、14年にファースト・ソリストに昇格。そして16年、26歳でプリンシパルに任命された。昨年6月には膝のけがで日本公演などを降板したが、同10月に復帰している。


© ROH, 2018. Photographed by Bill Cooper

2020年上半期の出演予定
Onegin、Swan Lake、Live Fire Exerciseほか

「ドン・キホーテ」の主役キトリを演じる高田のシーンはこちら。

(写真右)© ROH, 2019. Photograph by Tristram Kenton

昨シーズンでは、出演者のけがにより「ロミオとジュリエット」でロミオ役として高田氏(ジュリエット役)と急遽共演し、喝采を博した平野氏。

平野氏は1983年生まれ、兵庫県出身。身長185センチ。母親が指導する教室でバレエを始め、2001年ローザンヌ国際バレエ・コンクールで入賞。翌02年に英ロイヤル・バレエに入団し、07年にファースト・アーティスト、08年にソリスト、12年にファースト・ソリストに昇格。そして16年、32歳でプリンパルに任命された。

2020年上半期の出演予定
Onegin、Swan Lake、Corybantic Games、Live Fire Exerciseほか

「フランケンシュタイン」で化け物役を演じる平野のシーンはこちら。

舞台に興味はないけれど、
雰囲気を知りたい!という人は…

バックステージツアー

© Sim Canetty-Clarke

ロイヤル・オペラハウスの舞台裏を見学できるツアーが、平日の昼間に行われている(要予約、£15)。衣装や小道具制作室、舞台セット、ダンサーが練習中のリハーサル・スタジオなどが見学可能。ただし、メインステージの劇場はリハーサルで使用されていることが多く、観客席を見られるのは稀。

レストラン&バー

春~夏は、コベントガーデン・マーケットを見下ろしながらアフタヌーンティーも楽しめる!

劇場内にはカフェ、レストランやバーが計6ヵ所ほどある。オペラやバレエを観ない人でも利用可能。とくに、ガラスで覆われた吹き抜けの天井が美しい「Paul Hamlyn Hall Balconies Restaurant & Champagne Bar」(写真上)は、おすすめ。

ロイヤル・オペラハウスへの行き方

Royal Opera House
Bow St, London WC2E 9DD
020 7304 4000
www.roh.org.uk
コベントガーデン駅から徒歩3分

ロイヤル・オペラハウス
2020年上半期 スケジュール

オペラ
  • La traviata ラ・トラビアータ (椿姫)
    3月23日まで £11~225

    © ROH

    あらすじ アレクサンドル・デュマ・フィスの悲恋小説「椿姫」が原作。パーティーと酒におぼれる生活を送っている娼婦ヴィオレッタは、ある夜に青年貴族アルフレードと出会う。彼はヴィオレッタに愛を告白するが、彼女は拒絶する。しかし、次第にアルフレードに心を開いていったヴィオレッタは、ついに娼婦をやめて彼と暮らすことを決意。だが、娼婦であった自分が、アルフレードの妹の結婚にさしさわると知り、彼のもとを去った。自分を裏切ったとヴィオレッタを恨むアルフレードだったが、彼女が病に侵されていると聞き…。

  • La bohème ラ・ボエーム
    5月27日まで £11~230
  • Alice's Adventures Under Ground 地下の国のアリス
    2月3日~9日 £3~60
  • Fidelio フィデリオ
    3月1日~17日 完売
  • Jenůfa イェヌーファ
    3月24日~4月9日 £4.50~125
  • Cavalleria rusticana / Pagliacci カヴァレリア・ルスティカーナ/パリアッチ(道化師)
    4月11日~5月2日 £11~195
  • Tristan und Isolde トリスタンとイゾルデ
    4月27日~5月11日 £8.25~225
  • Lucia di Lammermoor ランメルモールのルチア
    6月10日~7月8日 価格未定
  • Madama Butterfly マダム・バタフライ(蝶々夫人)
    6月22日~7月17日 価格未定

    © ROH. Photograph by Bill Cooper

    あらすじ長崎に来た米海軍士官ピンカートンは、結婚仲介人の斡旋によって、「現地妻」として没落藩士令嬢で芸者の蝶々さんと結婚。米総領事は、ピンカートンに軽率だと忠告するが、彼は聞く耳を持たない。やがてピンカートンは米国へ帰国する。夫の帰りを息子と待つ蝶々さんのもとに3年後、ピンカートンが乗る軍艦が入港。米国人の妻を同伴していることを知り、自分が「妾」の立場だと悟った彼女は、息子を渡すように言われ…。

  • Don Carlo ドン・カルロ
    6月29日~7月19日 価格未定
  • Tosca トスカ
    7月6日~15日 価格未定
バレエ
  • Onegin オネーギン
    2月29日まで £5~110
    平野亮一(オネーギン役)、高田茜(オリガ役)の出演日あり。

    © ROH, 2020. Photograph by Tristram Kenton

    あらすじ プーシキンの小説「エフゲニー・オネーギン」が原作。地主の娘タチヤーナは、妹オリガの婚約者レンスキーの友人で放蕩貴族のオネーギンに惹かれ、恋文をしたためるが、相手にされない。タチヤーナに当てつけるかのように、舞踏会でオリガと何度も踊ったオネーギンは、レンスキーと決闘の末、殺してしまう。数年後、オネーギンは人妻となったタチヤーナに再会。美しく成熟した彼女に恋心を抱くが…。

  • Dances at a Gathering / The Cellist ダンシーズ・アット・ア・ギャザリング/セリスト
    2月17日~3月4日 £3~75
    ファースト・ソリスト、金子扶生(かねこ・ふみ)の出演日あり。
  • Swan Lake スワン・レイク(白鳥の湖)
    3月5日~5月16日 £5~145
    高田茜と金子扶生(オデット/オディール役)、平野亮一(ジークフリート王子役)の出演日あり。

    © ROH, 2018. Photograph by Bill Cooper

    あらすじ 舞踏会で結婚相手を選ぶよう言われたジークフリート王子は、ゆううつな気持ちで夜の湖畔へ出かける。そこで、悪魔の呪いで白鳥に姿を変えられた娘オデットと出会い、恋に落ちる。「真実の愛を誓う男性だけが、呪いを解くことができる」と話すオデットに、自分こそがその青年だと王子は言う。しかし、翌日の舞踏会に謎の騎士に連れられた娘オディールが現れ、王子を誘惑。オディールはオデットにそっくりで…。

  • Live Fire Exercise / Prodigal Son / Corybantic Games 実弾射撃訓練/放蕩息子/コリュバンテスの遊戯
    4月2日~20日 £3~60
  • The Dante Project ダンテ・プロジェクト
    5月6日~6月1日 £1~90
  • Tombeaux / Monotones I and II / Symphonic Dances 墓/モノトーン1&2/交響的舞曲
    6月3日~13日 価格未定

※上記は、2020年夏までのメインステージの主な演目予定です。Linbury Theatre、Clore Studioなどの演目スケジュールについては、ロイヤル・オペラハウスの公式サイトをご参照ください。

週刊ジャーニー No.1121(2020年1月23日)掲載