レストランの評価と格付けであまりにも有名な「ミシュラン・ガイド」――。フランスで始まり81年以上の歴史を持つこのガイドは、つい最近まで欧米を対象とするものであったが、2007年、「東京版」が初の欧米以外の版として登場。一昨年には「京都・大阪版」も発行され、昨年発行の2011年版では、新たな都市を加えて「東京・横浜・鎌倉版」、「京都・大阪・神戸版」として出版されている。 とはいえ、「世界で最も洗練された飲食マーケット」を首都とする国を離れて、食に関しては何かと不名誉なイメージのつきまといがちな英国に住む我々にとって、「バリュー・フォー・マネー」かつ舌鼓を打てるレストランを見つけるのは至難の業。たとえミシュランの星を獲得していたとしても、いくら現地の新聞や雑誌で高い評価を受けていたとしても「なぜ?」と首をかしげてしまう店も少なくない。それゆえ、本誌編集部には、日本人の視点からみた「英国の美味しい店」を日本人に紹介する使命があり、そのためにはせっせと足を運び、ミシュラン調査員よろしく試食する必要があるのである。 |
1.Truffle Soup フォアグラとトリュフを使ったぜいたくな1皿。パンケーキを細くスライスし、ヌードル風に仕上げてあるのが、日本人にとってはどうも中華を彷彿とさせる庶民的なイメージで残念。かなりリッチな味わいなのだが、塩味が強めで、食べ終わる頃にはちょっと飽きてしまっていた。1品目にして先行きが不安に。
2. Scallops ホタテの抜群な火の入りといい、最大限に引き出されたリークの甘みといい、シェフの腕前に脱帽させられ、1品目の不安が見事にかき消された。カリカリのスモークベーコンにサンドされたオニオン・タルトもまた、とろっとした食感と甘みがベーコンと好相性。見た目はなんともシンプルながら、全体に見事なハーモニーを奏でており、この日のハイライトとなった1品。 |