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ワインにまつわる今月のトピック㉚ ウクライナ難民支援のためのワイン

© USSR_map.svg: Saul ip
【旧ソビエト連邦の共和国】
1ロシア、2ウクライナ、3ベラルーシ、4ウズベキスタン、5カザフスタン、6ジョージア、7アゼルバイジャン、8リトアニア、9モルドバ、10ラトビア、11キルギス、12タジキスタン、13アルメニア、14トルクメニスタン、15エストニア

他人ごとではないウクライナ侵攻

2022年2月から始まったロシアによるウクライナ本土への軍事進攻によって、多くの人々が犠牲となっていることについてはご承知の通りだ。もともとソビエト連邦に属していたウクライナ共和国に、1954年、当時の共産党第一書記フルシチョフによってクリミアが移管された後、1991年にソ連が崩壊した際(時のソ連大統領はゴルバチョフ)、ウクライナをはじめとする国々が独立し、クリミアはウクライナ領となった。これが2014年のロシアによるウクライナ領クリミアの併合・実効支配へ、さらには現在も続くウクライナ侵攻へとつながるわけだが、ソ連崩壊後に独立した国々の中には、今後のロシアによる攻撃に恐れを抱いている国が複数ある。ジョージアやモルドバなどもそうした国の一部だ。

ワインやウォッカで支援

こうした国々では、ウクライナ支援の活動が広く行われており、例えば、ウクライナ難民を支援するためのワインも紹介されている。ワインの名は「フリーダム・ブレンドFreedom Blend」。もとはソ連からの解放20周年を記念して、モルドバのシャトー・プルカリChateau Purcariによって2011年から造られているワインで、2020年もののラベルにはウクライナ国旗の色のハートが描かれ、自由を象徴する飛び交うカモメがあしらわれている=写真右。利益はウクライナ難民のために寄付されている。このワインは、3国を代表する3つの土着ブドウ品種の巧妙なブレンドだ。ウクライナのバスタルド・マガラチスキーBastardo Magarachsky種が15%、モルドバのララネアグラRară Neagră種が20%、ジョージアのサペラヴィSaperavi種が65%という割合で造られている。

筆者は同ワインを最近入手し、テーストしたのだが、まず手にして驚いたのはそのボトルの重さ。容量は75clと普通のワインと同じだが、シャンパーニュのボトルと同じほど重い。ボトルにはシャトー・プルカリの創業年である1827が浮き彫りされている。ワインは、深い真紅色で、チェリーや黒いベリー類、プラムといった果実の風味が芳醇で、辛口でありながら、ほんのりと蜜やアーモンドを思わせる風味が漂い、森や皮革といった複雑な熟成を呈し、のど越しがベルベットのようにスムーズに仕上げられたエレガントなワインだ。

赤い肉類、ハードチーズ、純度85%ほどのダークチョコレートなどに合う。ワイン品評会でも数々の賞を受賞しており、英国では「Transylvania Wine」「Best of Hungary」「North & South Wines」「MyFooDen」で購入可(価格は19.95~27.15ポンド)。利益はウクライナ難民支援にあてられている。

他にも、ウクライナ難民の支援活動に寄与しているものに、キーウから逃れた難民のファッション・デザイナーによって立ち上げられた「ウォッカ・ゼレンスキーVodka Zelensky」=写真右=のほか、

「ストーリ・ウォッカStoli Vodka スペシャル・エディション」(ハーヴィ・ニコルズHarvey Nicholsにて33ポンド)=同左、「Harbour」のビール、「スタンド・ウィズStand With(支援)」=同右=などがある。

週刊ジャーニー No.1281(2023年3月9日)掲載

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson

WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。Ordre des Coteaux de Champagne団員。国際日本酒利き酒師。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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