ワインにまつわる今月のトピック㉚ フランスのスパ-クリング・ワイン事情 その2

ブルゴーニュとボルドーでも造られるスパークリング・ワイン

前回に引き続き、フランスのシャンパーニュ以外のスパークリング・ワインについてお届けしたい。非発泡性ワインで有名なブルゴーニュ(英語では「バーガンディー」)地方やボルドー地方でも、発泡性ワインが造られていることは意外と知られていない。ブルゴーニュ地方には、クレマン・ドゥ・ブルゴーニュCrémant de Bourgogneとブルゴーニュ・ムスーBourgogne Mousseuxがあり、ボルドー地方にはクレマン・ドゥ・ボルドーCrémant de Bordeauxがある。これらのスパークリング・ワインには、通常、土着のブドウ品種が使われる。ブルゴーニュ地方のクレマン・ドゥ・ブルゴーニュの場合、白とロゼのスパークリング・ワインがあり、主にシャルドネChardonnay種(白)、ピノ・ノワールPinot noir(黒)、ピノ・ブランPinot blanc種(白)、ピノ・グリPinot gris種(白)、アリゴテAligoté種(白)から造られる。

白ブドウと黒ブドウの使い分け

ピノ・ノワールは黒ブドウ品種だが、果肉は白いので、果皮のみを傷つけて果皮の色をつけないように手で丁寧に収穫して圧搾すれば、白い果汁のみが取れ、これで白いスパークリング・ワインを造ることができる。
ラベルに「Bland de Blancs」と明記されていれば、白ブドウ品種のみから造られたという意味で、フレッシュでエレガントなワイン。これに対して「Blanc de Noirs」と書かれていれば、黒ブドウ品種のみが使われていることを示し、赤いカラント、ラズベリーのアロマやフレーバーを呈すスパークリング・ワインとなる。ただ通常は、黒ブドウ品種と白ブドウ品種の両方が使われるのが一般的。クレマンのロゼの場合には、黒ブドウ品種のみが使われることが多い。
数あるクレマン・ドゥ・ブルゴーニュの中から、今回お薦めしたい1本は、マークス&スペンサーの「Classics No12, Brut, Crémant de Bourgogne, Burgundy, France NV」(店頭価格10ポンド)=写真右。品評会「Wine Challenge」で金賞を受賞したポピュラーなスパークリング・ワインで、75%がピノ・ノワール種で、残りの15%にはアリゴテ種、ガメイGamay種、シャルドネ種が使われている。口当たりが柔らかく、黄色のリンゴと白い花の香りと味わいを呈す、コクや旨味のある辛口ワインで、どんな料理にも合いやすい。しっかり冷やして楽しんでいただきたい。

淡い赤が美しいスパークリング・ワイン

さて、以前はムスーという言葉は、発泡性ワインの代名詞のように使われていたが、ブルゴーニュ・ムスーの場合は、それ自体が名称ワインで、赤いスパークリング・ワインのこと。といってもかなり淡い赤なので、ロゼ・ワインと間違えてしまうほど。主にピノ・ノワール種やガメイ種が使われるが、ブルゴーニュ地方北部では、セザールCésar種 やトゥレソーTressot種が使われることが多い。なお、シャルドネ、ピノ・ブラン、ピノ・グリといった白ブドウも最大15%までは使うことが許されている。

ボルドーが取り組む新しい名称ワイン

クレマン・ドゥ・ボルドーは1990年にデビューした新しい名称ワインで、今号でご紹介した他のスパークリン・ワイン同様、シャンパーニュと同じ製法で造られている。辛口Secから、やや辛口Demi Sec、そして甘口Douxの白とロゼ・ワインがある。ボルドー地方土着のソーヴィニョン・ブランSauvignon blanc種(白)、セミヨンSémillon種(白)が主に使われるが、ムスカデルMuscadelle種(白)、ソーヴィニョン・グリSauvignon gris種(白)、メルロMerlot種(黒)、カベルネ・ソーヴィニョンCabernet sauvignon種(黒)、そしてカベルネ・フランCabernet franc種(黒)の使用も許可されている。
このワインは前述のクレマン・ドゥ・ブルゴーニュほどコクや旨味はなく、むしろフレッシュでシンプルなスタイル。お薦めしたいのは、テスコで購入できる「Calvet, Crémant de Bordeaux, Bordeaux, France」(店頭価格10ポンド)=写真右。フレッシュで柑橘類の風味を持つスパークリング・ワインで、しっかり冷やしてアペリティフとして飲みたい、夏にぴったりの1本だ。

週刊ジャーニー No.1196(2021年7月8日)掲載

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson

WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。Ordre des Coteaux de Champagne団員。国際日本酒利き酒師。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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