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ご当地ワインと郷土料理&名産物㉒ 北米・カリフォルニア その3
ゴールド・ラッシュが生んだ数々の名門ワイナリー
今号でも、引き続きカリフォルニア・ワインを取り上げることにしたい。1848年以降のカリフォルニアのゴールド・ラッシュによって入植者が殺到し、ブドウ栽培が盛んに行われるようになったことは前回、記した通りだ。また、その頃、大陸横断鉄道が開通したこともあり、ワイン市場がさらに拡大。1857年にはアメリカで初めての商業規模ワイナリー、ブエナ・ヴィスタBuena Vistaが創設されると、ソノマ郡やナパ郡に、ガンラック=バンシューGundlach-Bundschu、イングルヌック・ワイナリーInglenook Winery、マーカム・ヴィンヤーズMarkham Vineyards、シュラムズバーグ・ヴィンヤーズSchramsberg Vineyardsといった、今日「名門」と呼ばれるワイナリーが次々に設立された。
時代が求めた暑さに強いブドウ
そのゴールド・ラッシュ時代に、一攫千金を夢見て集まった人々に人気の高かったワインを造るブドウ品種に、ジンファンデルZinfandelがあった。ジンファンデルは、故郷クロアチアで野生のブドウとして生育していたのだが、あまりの美しさにある英国人の目にとまり、彼が母国に持ち帰って温室で育てたのがこの品種の国際化の始まり。やがて、ウィーンの育苗所から1800年代に装飾用として米東海岸に上陸し、1834年にマサチューセッツの園芸学会に出展されてから頻繁に農業学会誌で紹介されることになる。サクラメントの種苗家によってカリフォルニア州に紹介され、ゴールド・ラッシュ時代あたりから、ワイン用として使われるようになった。もともと「名無しのゴンベイ」だった品種だが、当時、アメリカでジンファンダルZinfanndallと名付けられた(今ではジンファンデルZinfandelに変わっている)。
この品種がゴールド・ラッシュ時代、大いに栽培された理由の一つに、暑さに非常に強いことが挙げられる。今日でこそ、カリフォルニア州の北部の涼しい地区できわめて上質なジンファンデルが造られているものの、当時、ゴールド・ラッシュに集まった人々は、金が採掘できるカリフォルニア州内陸の暑い地域に住み着いたために、その近郊、つまり暑い地域で造られるブドウ品種が重宝がられたというわけだ。
故郷では栽培されないクロアチア原産種
さて、このジンファンデルは、カリフォルニア州で栽培されるワイン用ブドウ品種の10%を占め、アメリカ人は「アメリカのブドウ」と誇っていたのだが、1990年代初頭に、カリフォルニア大学デイビス校でのDNA鑑定で、この品種はクロアチア原産のツールイェナック・カシュテランスキCrljenak Kaštelanski(別名トリビドラグTribidrag)であることが確認された。ただ、故郷のクロアチアでは、この品種はカビ病に弱いために、現在ではほとんど栽培されていない。代わりに、欧州では、クロアチアからアドリア海をを越えた地にあるイタリア・プーリア州で盛んに栽培されている。なお、イタリアではプリミティヴォPrimitivoと呼ばれている。
この品種は黒ブドウ品種で、英国では赤ワインで知られているが、アメリカでは、アメリカでは、ブラッシュBrushと呼ばれるロゼ・タイプの方が人気が高く、赤ワインの6倍も売れている。そのうえ、さらにややこしいことに、ラベルには「ホワイト・ジンファンデル」と表記されている。
よく熟したブドウから造られる強いワイン
ジンファンデルの赤ワインは、一般的にフル=ボディで中程度の酸味をもち、タンニンの豊富な、赤いベリー類、紅茶、ハーブ、ココナツといった風味を呈す赤ワインを造る。果粒がよく熟し、甘いブドウとなるので、造られるワインのアルコール度数は高い。また、ブドウの房に付く各果粒の成熟の進み方が異なるために、房全体が成熟するのを待つと、幾つかの果粒は干ブドウのようになることから、こうしたブドウから造られるワインのアルコール度数は15%を超えることもある。
週刊ジャーニー No.1017(2018年1月11日)掲載
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