何ゆえ、英国には「クリスマス・ジャンパー・デー」がありますの?
愛するお父様へ
前文お許しくださいませ。
先週末、英語学校のクラスメイト4人で、サマセット・ハウスのアイス・リンクに行ってまいりました。1時間ほど滑ってアイススケートを満喫いたしましたが、顔や手足がすっかり冷え切ってしまったので、身体を暖めようとコーヒーショップに立ち寄ったときのことです。
「コスタ」でクリスマス期間限定の「ジンジャーブレッド・ラテ」を注文しましたところ、いつもの赤いカップではなく、可愛らしいペンギンのイラストが描かれたカップに注いでくださいました。友人のカップにも、サンタクロースのイラストが! ふと店内に飾ってあるポスターを見ますと、「We're feeling so Christmassy, even our cups are wearing Christmas jumpers.(もうすっかりクリスマスですね。カップもクリスマス・ジャンパーを着ていますよ)」と書いてあります。つまり、このカップの柄はクリスマス・セーター(英国ではセーターのことをジャンパーと言います)だったのです!
そういえば昨年、英語学校で開かれたクリスマス・パーティーのドレスコードが、クリスマス・セーター着用であったことを思い出しました。英国人は、クリスマス・セーターに特別な思い入れがあるのでしょうか? 気になりましたので、調べてみることにいたしました。
クリスマス・セーターとは、クリスマスにまつわるモチーフがデザインされたセーターのこと。サンタクロースやクリスマス・ツリー、トナカイ、雪だるまなどの絵柄が中央に大きく編み込まれた、華やかな色合いのものが主流です。いくつか資料をあたりましたところ、昔はクリスマス・プレゼントとして、こうした手編みのセーターが祖母や母親から贈られていたのだとか。ところが、クリスマスの時期しか着ることができず、お洒落とは少々言い難いデザインだったため、いつの間にか「もらって困るクリスマス・プレゼント」リストのトップに挙げられるようになってしまったそうです。
しかし1980年代に入り、不評だったクリスマス・セーターに大きな転機が訪れました。テレビ番組で、司会者やタレントが「ジョーク」としてクリスマス・セーターを楽しんで身につけたことから、「ダサかわいい」と人気に火がついたのです。その後も、2001年に映画『ブリジット・ジョーンズの日記』で俳優のコリン・ファースさんが着て話題になったりと、数年ごとにブームが繰り返されてきました。そうした中で、ついに2012年、「クリスマス・ジャンパー・デー」なるものが誕生するに至ったとのこと! 12月の第2週か第3週の金曜が、それにあたります。チャリティ団体「セーブ・ザ・チルドレン」が主催しているイベントのひとつで、「みんなでクリスマス・セーターを着て、子どもたちの命を守るために寄付をしよう」という趣旨。このイベントにあわせて、「クリスマス・ジャンパー・デーにクリスマス・セーターを着て来店した人は、コーヒー1杯無料!」といったキャンペーンを行うコーヒーショップなども増えてきたようです。
今年のクリスマス・ジャンパー・デーは12月16日。わたくしも、昨年購入したクリスマス・セーターを思い切って着てみようかしら…と、いま思い悩んでおります次第です。それでは今日はこのへんで。お母様にもよろしくお伝えくださいませませ。
かしこ
平成28年12月5日 るり子