2016年6月24日

何ゆえ、日曜日にサンデーローストを食べる習慣がありますの?

愛するお父様へ
前文お許しくださいませ。
お父様、お変わりございませんでしょうか?
一年でもっとも日が長くなる「夏至」を迎え、いよいよ本格的な夏がスタートいたしました。街中でも、多くのショップが一斉にサマーセールを開催しはじめております。ずっと気になっておりましたバッグを購入するチャンスと思い、友人と一緒に買い物に出かけたのですが、人混みのあまりの凄さに途中で断念してしまった次第です…。
さて、今日はまた、新たに知りました英国の習慣についてご報告いたしますね。
久々に気持ちよく晴れた先週の日曜日、エドワーズご夫妻と近所の公園をのんびり散歩した後、昼食をいただくためにパブへまいりました。英国の日曜のパブランチといえば、やはりサンデーロースト! サンデーローストとはローストされた肉、ポテト、野菜、ヨークシャー・プディング(シュークリームの皮に似た、ふわふわしたパンのようなものです)に、グレービーソースをたっぷりとかけた伝統的な料理で、日曜日に食べることから「サンデーロースト」と呼ばれています。お肉はビーフが主流ですが、チキンやポーク、ラムなどを選ぶこともできます。
それにしましても、一体なぜ日曜日にこのような料理を食べる習慣が定着したのでしょう? いつもの好奇心が頭をもたげてまいりましたので、調べてみることにいたしました。
資料をあたりましたところ、サンデーローストの起源は諸説あるようで、なかでも根強く伝えられているものが2つございました。
まずひとつが、18~19世紀の産業革命期のイングランド北部ヨークシャー地方を起源とする説です。ヨークシャーに住んでいたある家族が、日曜の朝に教会で行われる礼拝から戻った後、すぐに一家で食卓を囲めるようにと、肉や野菜をオーブンに入れてから出かけたのだとか(火にかけたまま、教会に行ったのでしょうか…)。
一方、もうひとつの説は中世までさかのぼり、ヨークシャーの村での慣わしが起源とされています。日曜の朝の礼拝を終えた後、村の領主は騎士たちとともに練兵場で実戦練習を行っていたとのこと。訓練の終了後には一週間の働きを労い、騎士たちに雄牛のロースト料理が振る舞われたそうです。どちらの説が正しいのか、わたくしには見当もつきませんが、ヨークシャー・プディングを添えることからも、サンデーローストは「ヨークシャー発祥」というのは間違いなさそうですね。
ちなみに余談になりますが、1871年に発行された料理レシピ本「Apicius Redivivus : Or, The Cook's Oracle」には、健康を保つためのおすすめメニューとしてローストの肉料理が紹介されています。その本では、週3キロのお肉と2キロのパンを食べ、毎日1パイントのビールを飲むことが推奨されているものの、現代の英国人は週1・5キロほどしかお肉を食べていないそうです(とはいえ、毎日200グラム以上食べている計算になりますので、食べすぎだと思いますが…)。
それでは今日はこのへんで。お母様にもよろしくお伝えくださいませませ。
かしこ
平成28年6月21日 るり子
