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徳川るり子の細腕感情記Ⅱ

何ゆえ、ウィンブルドン選手権では選手のユニフォームが白色と決められていますの?

2015年6月26日

徳川るり子

愛するお父様へ

前文お許しくださいませ。

お父様のお好きなテニスのウィンブルドン選手権がまもなく開幕いたします。お父様の隣に座り、テレビのライブ中継に夢中になりました昨年を懐かしく思い出ております。あれから1年、時の流れは早いものですね。

ところでこのスポーツ・イベントに関して、かねてより疑問を抱いておりました。それは選手のユニフォームが白で統一されている点についてでございます。先日、熱心なテニス・ファンの友人が、「オフ・ホワイトやクリーム色は含まれない」「袖や首まわりに色が入ってもよいが、幅は1センチを超えてはならない」「見える可能性のある下着(!)も白でなければならない」など、10項目が定められていると教えてくださいました(想像以上の徹底ぶりです…)。

ただ、彼女も「なぜ白なのかしら」と頭をかしげておられましたので、思い切って調べてみました。

大会を主催する「オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)」のウェブサイトによりますと、1963年に「主に白いユニフォーム」と規定され、1995年には「ほぼ完全に白」と定められたとのこと。ただ、肝心の「なぜ白なのか」に関する記載がございませんでしたので、AELTCに直接問い合わせてみましたが、さすがに大会前で忙しかったのでしょう、お返事を頂戴することはできませんでした。そこで各種資料をあたり、興味深い記述を集めましたので、ご紹介させていただきます。

テニスの起源は古く12世紀にまでさかのぼることができますが、現在のような形のスポーツに発展したのは19世紀の終わり頃。当時はまだ、勝ち負けを決めるスポーツとしての側面よりも、社交の場として試合中も「品位」が重要視されていたようです。ですが、テニスには汗がつきもの。身だしなみに人一倍気を遣う紳士・淑女のお洋服に汗のしみが見えてしまっては大変です。そこで汗をかいても目立ちにくい、白い衣服が選ばれるようになったとのこと。

ウィンブルドン選手権で初めて女子の部が設けられた1884年。初代優勝者となったミード・ワトソンさんの『衣装』も白で統一されていました。こうしたことも、「ウィンブルドン=白」という『ドレス・コード』が定着するのに、一役買ったようです。

女性に限らず、その頃上流階級では、余暇の際には白い服を身に着けるのが常でした。現在のように誰もが頻繁に洗濯ができて、白を白のままで維持できる時代ではございません。白い服の着用は、肉体労働をしていない、あるいはそれだけ金銭的なゆとりがあることの証でもあったのでしょう。

余談ですが、19世紀にはスポーツ・ウェアと呼ばれるものはまだ誕生しておらず、女性の場合は、スカートのふくらみを強調するためのバッスルや帽子などを着用していたとのこと。優雅な装いで、どのようなプレイが繰り広げられたのか、わたくしには想像がつきません…。

白い服を着る習慣は次第に広く人々の間に浸透し、ウィンブルドン選手権主催側がルール化するに至ったというわけです。ただ、最近では、選手たちから「ルールが厳しすぎる」との声も上がっているという新聞記事もございました。それでは今日はこのへんで。お母様にもよろしくお伝えくださいませませ。

かしこ
平成27年6月21日 るり子



とくがわ・るりこ◆ 横浜生まれのお嬢様。名門聖エリザベス女学院卒。元華族出身の27歳。あまりに甘やかされ過ぎたため、きわめてワガママかつ勝気、しかも好奇心(ヤジ馬根性)旺盛。その性格の矯正を画する父君の命により渡英。在英3年2ヵ月。ホームステイをしながら英語学校に通学中。『細腕感情記』(平成6年3月~平成13年1月連載)の筆者・徳川きりこ嬢の姪。
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