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2012年以降、ロンドンにはラーメン店が年を追うごとに増えている。日本で修業したラーメン職人が小ぢんまりと心地よい店を構える一方、高級百貨店のフードホールには「Ramen」の文字がスタイリッシュに踊る。味わえるのは定番の豚骨、醤油、味噌にヴィーガン・ラーメン…。今回の特集ではロンドンのラーメン・ブームに迫りつつ、ロンドンのラーメン店情報を一挙にまとめた。最後の1滴までご堪能あれ!

編集部がざっくり調査。データでわかる!ロンドンのラーメン・ブーム


ラーメン店の数

ラーメンを主力商品とする飲食店の数をカウント。以下のデータは、この50軒をもとに調査した。

ラーメン・ブーム 元年

2012年に「Bone Daddies」「TONKOTSU」「SHORYU」が登場して以降、じわじわとブーム拡大中。もっとも勢いがよかったのは2018年で、9軒がオープン。

1年間の平均開業数

2012~19年は年間平均で6.1軒増。競争の激しいロンドンの飲食業界を背景に、閉業した店もあることを考えると、この数字はもっと多いだろう。

ラーメン・メニュー総数

一番人気はやはり豚骨の約60品。ただ全体の4割程度に留まったことには驚き。2012年当初よりも豚骨離れ進行中か!? ベジタリアン・メニューも健闘中。

ラーメン店の多いエリア

ラーメン店が多いバラ(行政区画)は、ロンドン中心部のウェストミンスター。当然といえば当然!? これに続くのが、カムデン、サザーク、そしてハックニー。ポストコードで見てみると、WCおよびW1で始まるロンドン中心部の15軒がトップ。そのほか東西南北に点在するが、NとNWは少なめ。

「なんで豚骨?」「ラーメンの未来は?」ラーメン・シェフに聞いた。

ものほん創業者 & ラーメン・シェフ
イアン・ウィートリー氏

日本滞在中だった1990年代に、日本の食文化(特に裏路地にある小さなラーメン店)に魅了される。英国に帰国してサラリーマン生活を何年か続けたあとラーメンの道へ。日本中のラーメンを食べ歩き、ラーメン学校にも通い、さらに研究を重ねて、2015年に期間限定のラーメン屋台をロンドンにオープン。翌年、オールド・ストリートに店舗を構えた。本物の追及を信条に、情熱をもって日々ラーメン作りに勤しむ。

Q. ロンドンでラーメン人気を後押ししたのは?

A. 日本文化=クール、だから

僕が90年代に日本に住んでいたとき、英国ではあまり日本文化は知られていませんでした。でも今は観光地としても人気だし、日本文化そのものが「クールなもの」として受け入れられている。日本食はヘルシーというイメージにも助けられていると思います。

Q. 豚骨ラーメンが多い理由は?

A. 豚骨はちょっとミステリアス

素人目には醤油ラーメンは簡単に作られるもののように見えるのかも知れません。それに比べて豚骨は独特でちょっとミステリアス。手間がかかってそうなところも理由のひとつだと思います。実際に手間暇かかりますから。

Q. 英国でラーメンを作ることの難しさは?

A. 手に入る食材が違うし、高いからとにかく苦労した!

醤油の値段が日本に比べて格段に高かったり、日本の魚が英国では手に入らなかったりと、問題をあげればきりがない。日本と同じ硬度の水を使うために英国で手に入るすべてのブランドの水のリサーチもしました。豚の脳みそが欲しいと思ったときに、英国では皮も目もついた頭部全体を買うことになるので自分で処理しないといけなくなる。そういった細かいことを乗り超える必要がありますね。

Q. ラーメン・ブームは今後どうなる?

A. もっと人気になっていいはず!

その理由は、まず美味しいこと。そして僕の店と同じように自家製の麺を売りにするパスタ店や、日本食で人気の寿司に比べてみても、比較的安い値段でお腹いっぱいになること。同じ程度の人口を有する国際都市ニューヨークのラーメン・シーンはもっともっともっと大きいですからね。

Ramen Tips:ラーメンにまつわるミニ・トピック
中国発祥だけど…日本食として進化し続ける「ラーメン」

日本の食文化の中で、確固たる地位を築いた感があるラーメン。ご承知のとおり、中国発祥だ。名称がなぜ「ラーメン」となったかについては次のように諸説あると言われている。

① 中国北西部の麺料理「拉麺」(ラーミェン)がもとになっているとする説。

「拉」は「引っ張る」の意。もともと、生地を手で引っ張って細長い麺を作っていたことから。


②「老麺」(ラオミェン)がもとになっているとする説。

「麺」は小麦粉を使った生地の総称でもあり、中国古来の製法で作る生地「老麺」をラーメンの語源とすることには異論もある。


③1922(大正11)年に札幌でオープンした食堂「竹屋」で名づけられたという説。

後に中華料理も扱うようになった同店で、中国人シェフが「できたよー(好了=ハオラー)」と威勢よく告げる言葉を気に入った同店店主の妻が、「ラー」と「麺」をあわせた造語を料理名にしたという。

どの由来が正しいのか答えは出ないようだが、これからもラーメンが進化し続けることだけは確か。美味しいラーメン、感謝していただきまーす!

週刊ジャーニー No.1127(2020年3月5日)掲載