Q187英国の伯爵位、なぜ夫と妻の爵位名が全然違うの?
Aふむ。昔からの英国の世襲貴族で現存している血筋は805家じゃ(2023年8月時点)。爵位は5種類あるのじゃが、お主らはこれを上から順に正しく言えるか?
まず最上位(王族を除く)は「Duke(公爵)/ Dutchess(公爵夫人)」じゃな。次が「Marquess(侯爵)/ Marchioness(侯爵夫人)」、そして「Earl(伯爵)/ Countess(伯爵夫人)」、「Viscount(子爵)/ Viscountess(子爵夫人)」と続き、最下位が「Baron(男爵)/ Baroness(男爵夫人)」じゃ。女性の爵位名は基本的に末尾に「ess」を足したものなのじゃが、なぜか伯爵夫人だけ「Earless」ではなく「Countess」。まったく異なる単語なのは何ゆえか?
これは、フランスでは伯爵を「Count」と呼ぶことに由来しておる。フランス出身のウィリアム1世がイングランドを征服した後、最初に制定したイングランド貴族位が伯爵じゃった。ウィリアムは「Earl」と爵位名を定めたものの、夫人の呼称は考えなかったのじゃよ。ゆえに、伯爵夫人はフランス式のまま「Countess」で定着してしまったというわけじゃ。当時の女性の扱いの低さが垣間見えるのぉ…。
ちゃーんと理解したか? 覚えておかんと、首はねちゃうぞー!
週刊ジャーニー No.1323(2024年1月4日)掲載
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