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■ 第211話 ■ついに約束の地、カナンへ

▶約束の地カナン(現パレスチナ)攻撃を躊躇したイスラエル人。神は彼らの臆病にブチギレ。罰として40年間も荒野を彷徨わせた。その間、シナイ山では十戒が刻まれた石碑をぶん投げるほどお元気だったモーセもすっかりおジイに。モーセは後継者としてヨシュアという男を指名した。そしていよいよヨルダン川を越えてカナン中心の町エリコに攻め入る。エリコを滅ぼせばカナンはほぼイスラエル人のものとなる。再び神が現われて叱咤激励。「カナンの地に入ったら住民全てを追い払え。異教徒の偶像と祭壇を全てぶっ壊せ。そこにそなたたちが住むが良い。私がその土地をそなたたちに与えよう」。先にこの地で暮らしていた人たちからしてみたら迷惑この上ない身勝手な話。これは今日のイスラエル関連ニュースではない。3000年以上も前のお話だ。しかし現在イスラエルで起きていることとあまりに重なり過ぎていてコワイ。

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▶いよいよイスラエル人がカナンの地に攻め込む。その前にモーセは死ぬ。モーセは想い出や神との契約やらをくどくどと語り、死んだ。享年120。比較的若い。この時のくどくど話が旧約聖書「申命記」だ。ユダヤ教徒にとってとても大切なことが書かれているらしいが難しいので当欄では扱わない。さてヨシュア。エリコ突入の前に2人のスパイを町に送り込んだ。スパイは娼婦の館に身を寄せた。なぜ娼婦の館を選んだのかという説明は聖書にない。2人を匿ったのはラハブという娼婦。ラハブは「匿ってあげる。そのかわり町は滅ぼしてもアタイら一族は助けておくれ」と懇願した。何があったのか知らないがひでぇ女。敵偵察隊の潜入に気付いたエリコの王はスパイ狩りを行った。ラハブの館にも追手がやって来たがラハブはスパイたちを上手く匿った。

ヨルダン川を渡る、ヨシュア率いるイスラエル人たちですが、何か?
ヨルダン川を渡る、ヨシュア率いるイスラエル人たちですが、何か?

▶突撃の時が来た。イスラエル人はヨルダン川東岸に集結。戦闘集団は十戒を刻んだ石版入りの「聖なる箱」を担いでいた。これさえあれば怖いものなし。どうやってヨルダン川を渡るの? 大丈夫。モーセは死んだけど神はそばにいる。ヨルダン川は突然流れが止まり、川底が現われた。水止めはこの神様の得意技。イスラエル人は一気にヨルダン川西岸に渡った。「突撃だ。火を放て。皆殺しだ!」。ヨシュアの号令の下、イスラエル人の軍勢が一気にエリコの町になだれ込んだ。不意をつかれたエリコは壊滅。家畜も含めて老若男女、皆殺し。約束通り娼婦ラハブ一族は無事逃げ延びた。続いてアイという近隣の町に攻め込んだ。ここでは予想外の反撃に遭い、苦戦を強いられるもののやがてアイも滅亡した。アイの死者1万2,000人。エリコの方の数字は分からないがカナンの中心地とあるからアイの死者より多かったと思われる。「殺してはならぬ」と刻まれた立派な十戒の石版入り「聖なる箱」を先頭に、家畜や女子ども含め住民皆殺しってどういう矛盾? よく分からない。


▶エリコとアイの陥落を知った周辺の町の5王が結託してイスラエルを迎え撃った。しかし敵の背後には強力な神様がついている。いずれもエリコやアイ同様、皆殺しとなった。ヨシュアの進撃は止まらず、町々の王を滅ぼし、行く先々で住民や家畜を皆殺し。ほぼカナン全域を制圧した。彼らはついにカナン、現在のパレスチナを手に入れた。3000年の時を経て、まるで予言の書のように今イスラエルがガザ地区でやっていることと重なったところで次号に続く。チャンネルはそのままだ。

参考:阿刀田高著「旧約聖書を知っていますか」他 

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週刊ジャーニー No.1333(2024年3月14日)掲載

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