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■ 第204話 ■なんか、卑怯じゃないか?

▶今号は「旧約聖書」創世記の中に登場するお話であるものの、若干の暴力と性的表現が含まれる。よって18歳以下の諸君はぜひ読み飛ばそう。兄エサウと別れ、約束の地カナンに向かっていたヤコブたち一行。現在のイスラエル、ヨルダン川西岸地区にシェケムという町があった。ヤコブの妻1号、レアとの間にできた娘として唯一名前が残るディナがこの町を仕切る首長の息子に性的暴行を受けた。妹ディナを手籠めにされた兄弟たちは激怒。特にディナと母親が同じシメオンとレビ、2人の怒りは相当なもの。「妹に酷いことをしやがって。絶対許さん。皆殺しだ」と怒り狂った。ところが暴行を働いた息子はディナに首ったけ。どうしてもディナを嫁に欲しいと父に泣きついた。息子が可愛い首長は仕方なく和解を申し出た。「どうでしょう。争いごとは好ましくない。ここはひとつ姻戚関係を結ばせてもらえませんか。そちらの娘さんたちを我々の若者に嫁がせて欲しい。もちろん我々の娘もそちらに差し上げる」。

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▶シメオンとレビは顔を見合わせ「どうする?」と目で会話した。シメオンは首長に一つの提案をした。「一つだけ条件がある。我々一族は神との契約により、男子は全員割礼している。我々と姻戚関係を結ぶというのであればそちら側、男子全員が割礼する必要がある。いかがかな?」。要はヤコブ一行らと同じ神を信じるのであれば結婚を許そうという提案。ユダヤ教が誕生する前、アラビア半島においても割礼は極めて稀な行為であったことが分かる。恐らく首長らは割礼が何を意味するのか理解していなかったはずだ。しかし息子は「ディナと一緒になれるなら何でもする」と言い、率先して割礼に応じた。他の男たちも「嫁さんがもらえるなら」と全員がこれに倣った。男って、しょうもない。

襲われるディナ
襲われるディナですが、何か?

▶割礼から三日目。幸か不幸か筆者には割礼の経験がないが手術から三日目が最も痛みが激しいらしい。歩くこともままならない激痛という。その様子を見てシメオンは「今だ‼」と叫んだ。その合図を受け兄弟たちが一斉に集落の男たちに襲いかかった。「あいたたたた」。応戦しようにも先っちょに激痛が走る。そういう経験はないけれど股間激痛状態で男は力を発揮できないものらしい。集落の男たちはヤコブの子たちによってことごとく斬殺された。一行は残された女子や家畜も財産も根こそぎ略奪した上でシェケムの町を後にした。なんか罪に対する罰のバランス、悪くない? それにやり方が卑怯っぽいんだけど。


▶ヤコブはこのことを知らずシメオンたちの暴挙を悲しんだ。しかしシメオンは「ディナの名誉を守るため、仕方がなかった」と正当化した。アブラハム、イサク、そしてヤコブ。いずれも神が祝福を与えた男たち。神が求めているのは善人かどうか、正しいかどうかではなく、その男が神を敬っているかどうか。彼らはアブラハム以来、神の恩寵と数々の啓示を受け、使命を実現すべき立場を「約束」されているのだという。書いていて正直意味分からん。父イサクはヘブロンで息子ヤコブの帰りを今か今かと待っていた。そして14年ぶりの再会を果たした後、静かに息を引き取った。享年180。たはーっ、一族みな長生き。その後ディナは異母兄のヨセフか実兄のレビと結婚した。「それってきょうだい婚。一体どうなってんだ? 一神教」と叫びつつ次号に続く。チャンネルはそのままだ。

参考:阿刀田高著「旧約聖書を知っていますか」他

Kyo Service
J Moriyama
ジャパンサービス
らいすワインショップ
Atelier Theory
奈美デンタルクリニック
 

週刊ジャーニー No.1326(2024年1月25日)掲載

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