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■ 第203話 ■君の名は、イスラエル

▶兄エサウとの和睦を求めて野営していたヤコブを深夜、何者かが襲った。ヤコブと襲撃者は激しく掴み合い、ぶん投げては投げ返されるの繰り返し。格闘は夜が白々と明け始めるまで続いた。わずかにヤコブが優勢となったその時、襲撃者が口を開いた。「もういいだろう。お前はなかなか強い」。ヤコブは相手を掴む力を弱めて尋ねた。「一体、どなたですか?」。男は答えた。「分かっているはずだ」。ヤコブは掴んでいた手を放し殊勝な表情で「はい」と答えた。闘いの中、ヤコブは相手が誰だが気づき始めていた。襲撃者は静かにヤコブに語りかけた。「お前は今日からヤコブではなく『イスラエル』と名乗るが良い。私と闘って勝ったのだ。もう何も恐れる必要はない」。「イスラ・エル」とは「神と闘う者」「神に抗う者」という意味。ヤコブが闘った相手とは、神だった(天使説もあり)。

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▶どうも「旧約聖書」の、特に創世記に登場する神はやたら人の前に現れて妙な啓示を残したり、アブラハムにドッキリを仕掛けたりとやることが随分人間っぽい。しかも今度はヤコブの前に現れて取っ組み合いをした上にヤコブが優勢となると「お前、なかなかやるな」と言って仲直り。勇猛で狩猟を好む肉食系の兄エサウならまだしも、弟ヤコブは家畜の世話を好む草食系。好きになった女を手に入れたい心を伯父に利用され14年も労役に就かされるようなちょっと間の抜けた男。そんな男が突然、神と格闘した上に打ち負かしちゃうってどういうこと? 神様、弱過ぎないか。いずれにしても「イスラエル」が「神と闘う者」「神に対抗する者」という意味ならその後を暗示するなかなか物騒な名称だ。

神か天使と格闘中のヤコブ
神か天使と格闘中のヤコブですが、何か?

▶神と互角以上に闘ったヤコブ。その興奮も覚めない中、砂漠の夜が明けた。地平線に突然砂煙が舞い上がった。ラクダを駆った兄エサウが四百人の手勢を率いてやって来てヤコブを取り囲んだ。ヤコブは慌てて兄エサウの前にひざまずき「あなたの僕(しもべ)、ヤコブでございます。この家畜たちは全て贈り物でございます」と頭を垂れた。エサウは家畜には一切関心を示さず「いらん。それより懐かしい弟よ。そばに来て顔をしっかり見せてくれ」と言いヤコブをきつく抱きしめた。2人はしばらく14年の間に起こったことをじっくりと語り合った。わだかまりは消えていた。夕刻、別れの時が来た。「お前はこれからどうするのだ?」。エサウが尋ねた。ヤコブは「両親のいるカナンに戻りお家繁栄のために尽くすつもりです」と答えた。エサウは「それは良い。ぜひそうしてくれ。俺はお前とは生き方が違う。砂漠を走り回っている方が性に合っているようだ」。そう言うと男惚れするウィンク一発ぶっ放し「さらばだ」と告げると夕陽に染まる地平線の彼方へ消えていった。過去の弟の裏切りをなじることもなし。このキャラクター、男惚れしちゃう。エサウの方がよっぽど「イスラエル」の名に相応しい。しかし神がイスラエルに選んだのは弟のヤコブ。神様の判断基準、分からない。


▶しかし小細工して兄から長男の権利を奪い、14年間も逃亡を続けたウジウジ君がヤコブの全てではなかった。ヤコブ一家がカナンを目指していたある日、娘ディナがある集落の首長の息子に乱暴される事件が発生した。ディナの兄弟たち(ヤコブの息子)は激怒。「絶対に許さん」と復讐を誓ったところでR指定18の次号に続く。チャンネルはそのままだ。

参考:阿刀田高著「旧約聖書を知っていますか」他

Kyo Service
J Moriyama
ジャパンサービス
らいすワインショップ
Atelier Theory
奈美デンタルクリニック
Sakura Dental
 

週刊ジャーニー No.1325(2024年1月18日)掲載

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