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■ 第194話 ■サムソンとデリラ、ガザに死す

▶前号の「ダビデと巨人ゴリアテ」に続いて旧約聖書からフレッシュな知ったかぶりだ。「サムソンとデリラ」。旧約聖書「士師(しし)記」に登場するストーリー。紀元前1150年頃の話だからダビデより少し前の話だ。この頃、現イスラエルの辺りはペリシテ(パレスチナ)人が猛威を振るい、イスラエルの民(ユダヤ人)は虐げられていた。力関係、今と真逆。ある日、ガザで暮らしていたユダヤ人夫婦の妻の元に天使が現れて言った。「そなたは男児を宿す。その子は神に誓約を捧げた者だからよろしく。強い酒を飲ませない。汚れたものを食べさせない。頭にカミソリをあてない。以上、3点きっちり守ってね」。そう告げて消えた。するとそれまで不妊で悩んでいた妻が突然妊娠し、男児を出産した。サムソンと名付けられた。

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▶成人したサムソンは怪力の持ち主となり度々ペリシテ人を苦しめた。サムソンにはしょうもない欠点があった。度の過ぎた「女好き」。それもなぜか宿敵ペリシテの女にばかり惚れた。ある日、惚れた女を奪いに行った。途中ライオンに襲われたが手で引き裂いて殺した。ペリシテ人にクイズを出し、正解した者に服を与えた。その服は殺した30人のペリシテ人から奪ったものだった。女の父親はサムソンを嫌がり、急きょ他の男と結婚させた。怒ったサムソンは300匹のジャッカルの尾に火のついた松明を括りつけてペリシテ人の畑を焼き払わせた。ペリシテ人たちは「あの父娘のせいだ」と怒り、父娘を殺した。女を殺されて怒ったサムソンはロバのあごの骨を振り回して1000人のペリシテ人を殺した。サムソンはユダヤの士師(裁く者)となった。今ならどの出版社に持ち込んでも「何すか、これ?」と言われて突っ返される奇想天外ストーリー。でもこれ、旧約聖書に出て来るありがたいお話。

髪を剃られるサムソン
髪を剃られるサムソンですが、何か?(Peter Paul Rubens)

▶サムソンは次にデリラという美女に一目惚れ。デリラもまたペリシテの娘。サムソンの強さの秘密を知りたいペリシテ人は大金をちらつかせ「奴の弱点を探れ」とデリラを説得。デリラはベッドの上で「ねぇ~ん、あなたの弱点なあにぃ~ん?」と甘えた。サムソンは3度嘘をついた。デリラは「嘘つき。私のこと愛してないのね。もう嫌い」と嘘泣き。サムソン、女の涙に弱かった。「実は俺、髪の毛剃られると力出なくなるのよ」と秘密をバラしちゃった。太古のハニトラ。その夜、サムソンが寝静まるとペリシテ人たちが寝室に侵入。サムソンの頭にカミソリをあてた。サムソンはたちまち力を失って捕らえられた。両眼をくり抜かれ、ロバがする粉挽きの重労働をさせられた。


▶後日、3000人のペリシテ人たちが神殿に集まり祭りを催した。その最中、サムソンを牢獄から引き摺り出して辱めた。サムソンは神殿を支える2本の巨大な石柱に手をあて、天を仰いで祈った。「神よ、我に力を。我ペリシテ人と共に死なん」。渾身の力で石柱を押した。余興と思ったペリシテ人たちは指を差して笑った。サムソンの髪が再び伸びていることに気づく者はいなかった。その時、ゴゴゴッと低い音を立てて柱が動き、ゆっくりと倒れた。支柱2本を失った神殿は崩壊。サムソンとデリラ、そして多くのペリシテ人が瓦礫の下敷きとなって死んだ。神殿があったとされるのは現イスラエルのガザ地区だ。「ダビデとゴリアテ」も「サムソンとデリラ」もユダヤ人側が残した逸話だが、イスラエルとパレスチナの対立が当時から激烈だった様子が窺がえたところで次号に続くぜ。チャンネルはそのままだ。

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週刊ジャーニー No.1316(2023年11月9日)掲載

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