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■ 第147話 ■ミランコビッチ・サイクル

▶16世紀初め「天体は地球中心じゃなくて、太陽を中心にまわっている」と「地動説」を唱え当時の人々を驚かせたポーランドの天文学者コペルニクス。徳川家康とほぼ同時期を生きたドイツの天文学者ケプラーは「しかも惑星の公転軌道は円じゃなくて楕円だ」と追い打ち。ほぼ同じ頃、イタリアでガリレオも地動説を力説した。ところがカトリック教会は「聖書には太陽が動いているって書いてあるじゃん」と反論し「神様が嘘つくわけないじゃん」とガリレオに「地動説」の撤回を迫った。ガリレオは異端者裁判にかけられ有罪となった。

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▶ずっと後の19世紀から20世紀にかけて生きたセルビア人地球物理学者ミルティン・ミランコビッチ。「地球は太陽のまわりを楕円軌道で公転してるけど、楕円の形は変化し続けている」と面倒なことを言い始めた。いわゆる「ミランコビッチ・サイクル」だ。理論が難解過ぎて初め誰も理解できなかった。超ザックリ言うと、地球は太陽の周りを太目の楕円を描きながら回っているが、その楕円は長い時間をかけて少しずつ痩せていく。そして再び太っちょ楕円に戻って行くという収縮を繰り返している。太目の楕円が痩せていき、再び太目に戻る1セット周期は約10万年。楕円が痩せきった時、太陽と地球は最も接近するが、最大で1,827万キロも太陽に近づく。太陽と地球の距離は1億5千万キロと言われるからこれは素人でも分かるほど激ヤバの大接近。

ミランコビッチ・サイクル
ミランコビッチ・サイクルですが、何か?

▶ミランコビッチ・サイクル。地軸のブレなど別の要素も絡むため実際には遥かに複雑なんだけど当欄ではミランコビッチも呆然とするくらい端折ったが理論自体はこんな感じ。地球の氷河期サイクルの周期も約10万年でミランコビッチの唱えたサイクルとほぼ合致するという。現在地球が10万年周期のどの位置に居るのか、今回調べた範囲では分からなかった。ただ、痩せ型軌道に向かっているのなら少しずつ温暖化していくのだろうし、逆に太っちょ軌道に向かっているのなら地球はゆっくりと氷河期に向かう。人間の経済活動が地球温暖化を招いているのも事実かもしれない。しかし前号で知ったかぶりした「500年周期」や今回の「10万年周期」のように、温暖化は目には見えないもっと壮大な宇宙の摂理やサイクルの中で起きている現象である可能性も排除せずに対策を練って欲しいと切に願う。

▶有罪判決を受けたダビンチだが、ローマ教皇が裁判の過ちを認め、正式に謝罪したのはガリレオ死去から350年経った1992年のこと。「種の起源」を発表したダーウィンは「人間は神が創造した」とする聖書に反すると問題視された。そのため「進化論」はキリスト教研究を目的として設立されたオックスブリッジ両大学での発表が許されず、当時唯一の無宗教大学だったロンドン大学(UCL)から発表された。世界初のワクチン開発に成功したジェンナーも「牛の体液(種痘)なんか入れたら牛になる」と医学界権威や世間から総スカンを食った。細菌が発見される以前に手洗いの重要性を訴え続けたハンガリーの医師センメルヴェイスは狂人扱いされた上に撲殺された。皆、偏見や盲信、思い込みで停止した思考に苦しめられ、失意の中で死んでいった。異なる意見や見解にも耳を傾けられる頭の柔らかい素敵な大人でありたいもんだと願ったところで次号に続くぜ。チャンネルはそのままだ。

週刊ジャーニー No.1267(2022年11月24日)掲載

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