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■ 第145話 ■ワレワレモ、宇宙人ダ…!?

▶前々号でNASAを褒めた。今回はJAXAを褒めちぎる。2020年12月、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」から砂や石など、5.4グラムのサンプルを持ち帰った。5.4グラムって塩なら小さじ1杯だ。往復6億キロに及んだ大冒険旅行の土産としては少なく感じるが、地球史の謎解明には千トン級の価値がある。欧米の宇宙開発と比べると「はやぶさ」の任務は一見地味だ。しかし小惑星「イトカワ」に向かった初代はやぶさは探査を終えて地球に帰還した世界初の無人探査機。そして2代目は見事「リュウグウ」の試料を地球に持ち帰った。どちらも世界初を成し遂げた小さな巨人たち。

▶「50年以上前にアポロ11号が月の石を持ち帰ってるじゃん」「隕石も発見されてるじゃん」と言われそうだが、これらは全くの別物だ。地球は46億年前に無数の微惑星同士が衝突して出来た。初めの数億年は岩石や金属などの物質がドロドロに溶けた球状の火の玉だった。そのため全ての物質はかつて超高温、超高圧で焼かれ、その後冷却されたものだ。月もまた同様。隕石は大気圏で燃え、地上に落下したもの。なのでいずれも物質が熱や圧力で変質していてオリジナルの構造が分からない。ところが小惑星「イトカワ」や「リュウグウ」はこういった溶解ドロドロに巻き込まれなかった存在。46億年前のデータがそのまま残っている可能性が高い。「はやぶさ2」が持ち帰ったサンプルは国内外の専門家たちの手に委ねられて多角的に研究された結果、様々な新事実が分かってきた。試料の中に「必須」を含む23種類のアミノ酸が含まれていたことは既に報じられていたが今年9月、JAXAは試料の中に「水」が1滴、液体の状態で含まれていたと発表した。水は46億年前のもので、塩や有機物を含む炭酸水。宇宙で採取された物質の中から液体の水が発見されたのはこれまた世界初の快挙だ。「JAXAがついにやりよった」。筆者は感動の余り机に突っ伏してしばし号泣した。

ハント財務相
人間もETかもしれないけど、何か?

▶先述のごとく、初め地球は全体がドロドロのマグマでできていた。そこに当然、水はなかった。水がなければ生命も誕生しない。しかし今の地球には水が豊富にある。でっかい海があって地上にも空にも水中にも地中にも、もの凄い数の生命が息づいている。ではその海や生命体は一体どうやって誕生したのか。実は未だに確定していない。生命に欠かすことのできない有機物や水は46億年前の地球誕生以降に起こった様々な現象が引き起こした化学反応によって偶然生まれたとする説と、宇宙から大量に降り注いだ小惑星に含まれていたとする2つの仮説が混在する。今回「はやぶさ2」が持ち帰った試料に含まれていた「水」は後者の説を後押しすると言われている。

▶「水と有機物、宇宙から来た説」は木星誕生時、重力のバランスが変化したことで水や有機物を含んだ大量の小惑星が地球に接近。その後、地球の引力に吸い寄せられて地球に降り注いだと推定する。水を含んだ小惑星群はやがて海を作り、そこに含まれていた有機物が地球に生命をもたらした。この仮説が正しければ人類のモーレツに激しく遠い祖先も宇宙からやって来た有機物。つまり我々も元を辿れば宇宙人だったということになる? ならん? 知らん。JAXAとはそういった夢溢れる議論をより活発化させる偉大な存在。だから乾杯だ。今週も無事、飲む理由を見つけたところで次号に続くぜ。チャンネルはそのままだ。

週刊ジャーニー No.1265(2022年11月10日)掲載

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