gudaguda_title.jpg

■ 第97話 ■アメリカの仁義なき銀行戦争

▼1791年、アメリカに第一合衆国銀行が誕生した。民間の中央銀行だ。なんせそれまでは各州の銀行がそれぞれに銀行券を発行していた上にイギリスのポンド等も流通していたので両替も面倒だった。ところが南部諸州が中央集権的な銀行システムに飲み込まれるのを嫌ったため、とりあえずライセンスは20年限定とされ、1811年に第一合衆国銀行は消滅した。その翌年、米英戦争が勃発。戦費を賄うために各州の銀行が紙幣を刷りまくったため、えらいインフレになった。そこで議会は1816年、新たな中央銀行、第二合衆国銀行を創立した。期間は再び20年とされた。この時、ロスチャイルド・パリ家の代理人が巧みに潜り込み総裁の座を射止めた。ロンドン家のネイサン・ロスチャイルドも第二合衆国銀行に莫大な貸し付けを行い、支配体制を固めていった。

▼ナポレオン戦争は終わったがヨーロッパは荒廃した。逆にアメリカは発展を続け、貿易も盛んとなりバブルの様相となった。代理人を立てて陰に隠れていたロスチャイルド家だったが、やがて政府への借款や銀行への融資などに前のめりとなり、その存在が多くの人に知られるようになった。利権を独占する中央銀行にその他の銀行は反発した。1830年代になると人々は第二合衆国銀行を「ユダヤの銀行」と呼んで嫌悪するようになった。1832年の大統領選。アンドリュー・ジャクソン大統領は第二合衆国銀行をぶっ潰す!と公約を掲げ、圧倒的支持を受けて再選を果たした。すぐに第二合衆国銀行から政治資金を取り上げ、各州の銀行に分配した。

▼1836年、20年の契約終了が目前に迫っていた。ジャクソンは「化け物(第二合衆国銀行)を支配するロスチャイルドなどの海外株主」と名指しで攻撃し、ライセンス更新の拒否権を強硬発動した。裏で更新のためのロビー活動を続けていたロスチャイルド家に対し「銀行が俺を殺そうとするのであれば俺が銀行を殺す。てめえらは悪の巣窟だ。これ以上〇%&$なら#*&%するぞ」と、育ちの良い筆者ではとても活字にできないお下劣なお言葉の波状攻撃で海外資本を罵倒しまくった。ジャクソンの激しい牽制に第二合衆国銀行は次第に資金が回らなくなり、ライセンス終了と共に地方の一銀行となった。ジャクソンは「銀行戦争(bank war)」に勝利した。

ジョージ4世で
晩年のジャクソンですが、何か?

▼敗れたロスチャイルド家はアメリカでの通貨発行権独占に失敗した。アメリカにFRB(連邦準備制度理事会)というおよそ銀行っぽくない名の中央銀行がドサクサ紛れに設立されるのは銀行戦争から77年も経った1913年のことだ。トランプ前大統領がジャクソン大統領の肖像画をホワイトハウスの執務室に飾った理由はこの辺にあると言われている。

▼ジャクソンが銀行戦争でロスチャイルド家と戦っている最中の1835年1月30日、大統領暗殺未遂事件が起きた。議員の葬儀を終えてホワイトハウスを出たところ、群衆の中から一人の男が飛び出し、ジャクソン目がけて銃の引き金をひいた。不発だった。男は予備の銃を取り出して撃ったがこれも不発だった。取り押さえられた男は英国籍、失業中の塗装工でリチャード・ローレンスといった。ローレンスは意味不明の供述を繰り返し、例によって精神異常者とされた。後に警察が押収した2丁の銃を検証したところ、弾はいずれも問題なく発射された。この話が広まると国民は「大統領は神の摂理によって守られたのだ」と信じた。犯行の動機や背景はついに分からなかった。アメリカも闇が深いな。手探りのまま次号に続く。チャンネルはそのままだぜ。

※参考文献:林千勝著「ザ・ロスチャイルド」他

週刊ジャーニー No.1217(2021年12月2日)掲載

他のグダグダ雑記帳を読む