ぶらりんぐロンドン

ジャーニー編集部がロンドンの街をぶらりとレポート

テートでパワフルに開催中!「Soul of A Nation」を鑑賞してきた

アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの有名なフレーズ「I Have a Dream」。この演説が行われ、米国各地で運動がもっとも盛り上がりを見せた1963年からの20年における、黒人アーティストの活動に注目したエキシビション「Soul of A Nation」が現在テート・モダンで開催中。

およそ60人のアーティストによる作品を、アーティスト・グループや作品スタイルによって12のテーマに分けて展示しています。「ブラック・アート、黒人的な審美眼は存在するのか?」「政治的な変革にアートはどのように呼応すべきか」「誰が作品のオーディエンスとなるのか」「人種の壁が立ちはだかる白人主導のアート界で、どうやって作品を発表するのか?」など、自問を続けたというアーティストたち。その問いは、鑑賞者にも投げかけられます。

(c) Barkley L Hendricks; Courtesy of the artist and Jack Shainman Gallery, New York

今年4月に亡くなったバークレー・L・ヘンドリックス(Barkley L. Hendricks)の自画像「Icon for My Man Superman (Superman never saved any black people - Bobby Seale), 1969」。公民権運動の指導者ボビー・シール(Bobby Seale)の「スーパーマンは黒人を救いはしない」という言葉を引用したタイトルがつけられ、自分自身をスーパーヒーローとして描いています。今回のエキシビションに並ぶほとんどのアーティスト同様に、当時の米国では評価されなかったという彼ですが、2000年以降、欧米アート界での評価を高めているよう。時代は確実に変化していますね。

(c)Emory Douglas/ARS NY, Photo Credit: Courtesy of Emory Douglas / Art Resource, NY

エモリー・ダグラス(Emory Douglas)の「We Shall Survive Without a Doubt (1971)」は、黒人解放政治組織「ブラック・パンサー党」発行の新聞に描かれた作品。貧困地域での食料の無料供給などを目指した同党のアートダイレクターを務めた彼は、この作品で笑顔を見せる子供のメガネに食事をする様子を描き、希望を感じさせる作品に仕上げています。こういったかわいい作品がある一方で、警察から身を守るために武装した人物を描くものもありました。

黒人アーティスト以外にも、当時の様子を紹介する作品が展示されていました。その中で特に目を引いたのがこちら。黒人スラム街に暮らし、黒人たちを撮り続けたフォトジャーナリストの吉田ルイ子さんによる写真集「ハーレム 黒い天使たち」。写真はAmazonより。

また、この時代の政治的活動と切っても切り離せないのが音楽。ミュージアム・ショップにもレコードが販売されているほか、音楽のストリーミング配信サービス「Spotify」には、テート編集によるエキシビションのためのプレイリストが設けられ、イヤホンで音楽を聴きながらの鑑賞が推奨されていました。

作品は全部で150以上。社会で虐げられる中、自らのアイデンティティを守るように、そして同じように生きる仲間を勇気付けるようにして生み出された作品は、カラフルで力強く、エネルギーにあふれるものばかり。自分がこの時代に米国でマイノリティな存在として生まれていたら、どのように生きることができただろうかと考えると、彼らの強さに心が震えました。英各誌のレビューで、高評価を得ていることにも納得! 興味のある方はぜひ足を運んでみてください。(編集部C)

Soul of a Nation: Art in the Age of Black Power
2017年7月12日~10月22日/Tate Modern, Bankside, London SE1 9TG

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