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2017年4月13日

 

ご当地ワインと郷土料理&名産物⑳スペイン・プリオラート

リオハに並ぶ格付けのワイン

 

スペインには、原産地呼称ワイン格付け最高峰のDOCa(デノミナシオン・デ・オリヘン・カリフィカーダDenominacion de Origen Calificada)に認定されているワインが2つある。1つは先月号で紹介したリオハ。もう一つはプリオラートPriorato(スペイン語で「修道院」の意)だ。このワイン名を聞いたことがないという人も多いのではないだろうか。それもそのはず、このワインが市場に登場したのは1990年代で、かなり新しいからだ。
プリオラートは地中海から20~30キロ内陸に入った、バルセロナを中心とするペネデス地区の西北西に位置する地帯で造られる。標高は100~700メートルと差が大きく、ブドウは丘陵地帯もしくは山岳地帯の段々畑に植えられている。年間降水量はわずか約600ミリという乾燥した気候で、年間平均日照時間は2,700時間以上ときわめて豊富。さらに、地中海から吹く湿った風、山岳地帯特有の厳しい気候の変化、昼夜の気温の大きな寒暖差、農作物の耕作に不向きな「リコレリャLicorella」と呼ばれるスレート(粘土岩や頁岩)や石英を含んだやせた土壌が、ここで造られるワインを特徴づけている。

 

『4人組』による再生

この地域でブドウ栽培を始めたのは(少なくとも記録に残っているのは)カルトジオ修道士達で、12世紀のこととされている。ヨーロッパ全域のブドウ畑を荒廃させたブドウ根あぶら虫、フィロキセラがこの地を襲った19世紀後半には、約5,000ヘクタールのブドウ畑があった。ところが、フィロキセラによる大被害を受けたあと、秘境とも言えるこの地域の立地環境の悪さから、ブドウの樹の再植がなされず、ワイン産地としては長い間、表舞台から姿を消していた。息を吹き返したのは、それから100年近くを経てからで、1980年、ワイン醸造家レネ・バルビエRene Barbierとリオハのブドウ園経営者アルバロ・パラシオ Alvaro Palaciosがこの土地のワイン産地としての偉大な潜在性に着目、友人2人を誘いこの土地の再建に乗り出したことによる。
この4人は以後、『プリオラートの4人組』と呼ばれるようになるわけだが、彼らが新技術を導入してガルナッチャ種やマスエロ種(カリニャン種のこと)から造った1989年もののワインが、1991年に初めて市場に紹介されると、世界中のワイン評論家に絶賛され、一躍世界のワイン業界で注目を集めることになった。かくして、2000年にはリオハに続いて2つ目のDOCaワインとして認定を受けるに至った。

83のワイナリーがひしめく生産地へと成長

当初、ワインはガルナッチャ種とマスエロ種から造られていたが、今ではカベルネソーヴィニョン種や、メルロ種、シラー種をブレンドしたものも造られている。オーク樽内で6ヵ月間+瓶内で18ヵ月間熟成させた場合には
クリアンサCriancaと明記され、オーク樽内で12ヵ月間+瓶内で24ヵ月間熟成させるとレセルバReserva、オーク樽内で24ヵ月+瓶内で36ヵ月熟成させるとグラン・レセルバGran Reservaと明記される。
一時は消えかかったこの秘境のワイン産地、プリオラートも、現在ではブドウ栽培面積が約2,000ヘクタール、ブドウ栽培者数600人弱、ワイナリー数も83社と拡大。4人組が築いたブドウ畑には、クロス・モガドールClos Mogador、クロス・エラスムスClos Erasmus、クロス・マルティネClos Martinet、クロス・デ・ロバックClos de l'Obacなどがあり、日本でもその知名度が高まっている。中でも古いブドウ畑から造られるレルミタL'Ermitaは1本10万円近くもする。
さて、この深い色合いも持つ、タンニンの強い、比較的アルコール度が高く、黒い果実香味とスパイス風味の豊潤なワインに合うチーズといえば、チーズの持つ木の実風味に、ドライフルーツの塩味と甘味を持つナバラ産の熟成したロンカルRoncal=上写真=だろう。また、これにイベリコ・ハムを添えるとなお良い。

 

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson
WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。International Wine Challenge審査員。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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リベラ・デル・ドゥエロは大陸性気候で、夏季は摂氏40度を超えるほどの暑さとなり、乾燥する一方、冬季はマイナス摂氏18度を下回ることもあるなど厳しい寒さに見舞われる。
 

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