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徳川るり子の細腕感情記Ⅱ

2016年11月11日

何ゆえ、ロンドンのバスは赤色なんですの?


徳川るり子

愛するお父様へ

前文お許しくださいませ。

本日、オックスフォード・ストリートのクリスマス・イルミネーションが点灯され、街中が一気にクリスマスの雰囲気に包まれました。スケートが楽しめる野外アイスリンクも次々とオープンしており、来週には冬限定の巨大仮設遊園地「ウィンター・ワンダーランド」もハイドパークに登場いたします。寒いのは苦手ですが、クリスマス独特の華やかなムードは大好きですので、イルミネーションやクリスマス・ツリーを見に、あちこち出かけたいと思っております。

さて、本日もひとつ調べましたことをご報告いたしますね。

英国をイメージする色彩といえば、個人によってそれぞれだとは思いますが、わたくしはユニオン・ジャック(英国旗)に使われている赤、青、白の3色を思い浮べます。とくに赤色は、ロンドン名物のダブルデッカー(2階建てバス)や郵便ポスト、バッキンガム宮殿等の近衛兵の制服など、目にする機会が多いため、英国を表現する上で欠かせない色なのではないかと勝手ながら感じております。

ところが最近、「ロンドンのバスは赤色」という伝統が失われはじめているのです! 顕著になったのは、昨年からでしょうか。バスの車体の一部に飾られていた広告が大きくなり、バス全体が黒や白、ときにはピンク色などにデコレーションされているのです…。モダンな装いに変わったことを喜んでおられる方もいらっしゃるようですけれど、わたくしとしましては、名物の赤いバスの姿が減っていることは残念でなりません。そもそも、一体なぜロンドンのバスは赤色となったのでしょう? 気になりましたので、ロンドン交通博物館に問い合わせてみることにいたしました。

交通博物館の女性スタッフ、キャロラインさんによりますと、ロンドンに赤いダブルデッカーが登場したのは、20世紀初頭とのこと。それまでは緑、茶、黄色などルートごとに異なる色のバスが走っていたそうです!

1855年に創業したロンドンのバス運行会社「London General Omnibus Company(LGOC)」は、ライバル会社2社を1902年、1907年にそれぞれ買収。LGOCはロンドン最大のバス会社となり、その新たなスタートを祝してバスの色彩を統一することにしたのだとか。いくつか候補はあったようですが、最終的に買収したライバル社のひとつ「Vanguard Motor Bus Company」が使っていた赤色を採用。これがロンドンの赤いバスの起源だそうです。ただ、なぜ多くの色の中から赤が選ばれたのかは、資料等が残されていないため、わからないようでした。キャロラインさんは「わたしの推測なのですが…」と前置きされたうえで、赤は目立つこと(多くの人々に乗車してほしいので、目につきやすい色を選ぶのは当然ですね)、当時赤い塗装は長持ちすると考えられていたこと、そして何より赤の持つ「力強さ」がロンドンを代表する交通手段にふさわしい、とされたのではないかとおっしゃっていました。

確か、郵便ポストも最初は緑色でしたが、目立つようにと赤色に変更されたと聞いたことがございます。赤色が多用されるに至った理由は、案外単純なものなのかもしれませんね。

それでは今日はこのへんで。お母様にもよろしくお伝えくださいませませ。

かしこ
平成28年11月6日 るり子


とくがわ・るりこ◆ 横浜生まれのお嬢様。名門聖エリザベス女学院卒。元華族出身の25歳。あまりに甘やかされ過ぎたため、きわめてワガママかつ勝気、しかも好奇心(ヤジ馬根性)旺盛。その性格の矯正を画する父君の命により渡英。在英2年1ヵ月。ホームステイをしながら英語学校に通学中。『細腕感情記』(平成6年3月~平成13年1月連載)の筆者・徳川きりこ嬢の姪。
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