ご当地ワインと郷土料理&名産物⑳スペイン ミゲル・トーレス社

2017年5月11日

 

ご当地ワインと郷土料理&名産物⑳スペイン ミゲル・トーレス社

先代オーナー時代に大発展を遂げたワイン・メーカー

 

世界には巨大なワイン・メーカーが幾つかあるが、個人所有の世界最大のワイン・メーカーは、というと、スペインのミゲル・トーレスMiguel Torresが挙げられる。ミゲル・トーレス社は1870年にスペインのカタルーニャ州(州都はバルセロナ)ペネデス地区に設立され、5世代に渡ってトーレス家が経営を行っている。
現オーナーの父親、ミゲル・アグスティン・トーレスMiguel Agustin Torresは、フランス・ディジョンにあるブルゴーニュ大学でワイン醸造学を学んだ人物。1966年にフランスからシャルドネChardonnay種、カベルネ・ソーヴィニョンCabernet Sauvignon種、メルローMerlot種、ピノ・ノワールPinot Noir種を、ドイツからリースリングRiesling種とゲヴュルツトラミネールGewurztraminer種といった国際貴品種を故郷のペネデス地区に持ち込んだことから、この会社が注目を浴びるようになった。それまで、ミゲル・トーレス社はワインを樽で売っていたのだが、ステンレスタンクをはじめとする近代的設備を導入して、当時、まだ出始めたばかりのヴァラエタル・ワイン(単一ブドウ品種から造られ、ラベルにその品種名が明記されたワイン)を造って瓶詰し、自社名柄で売り出した。また、その頃のスペインではテロワール(地勢・土壌・気候など、その土地固有の諸条件)の概念がなかったのだが、彼はテロワールに合った品種を選んで栽培することによって、様々な異なった上質ワインを生産することを実現した。79年から80年にかけてフランスのゴー・ミヨ誌主催で行われたワイン・オリンピックでは、ボルドーのシャトー・ラトゥールChateau Latourやシャトー・オー・ブリオンChateau Haut Brionを抑えて、70年もののカベルネ・ソーヴィニョン部門で彼のマス・ラ・プラナMas la Planaが優勝している。

 

高額ワインも造るミゲル・トーレス社

一般的にミゲル・トーレスといえば、牛が描かれているラベルでおなじみのサングレ・デ・トロSangre de Toro(赤、白/「サングレ」=血、「トロ」=雄牛)やビニャ・ソルViña Sol(白/「ビニャ」=ワイン、「ソル」=太陽)、グラン・サングレ・デ・トロGran Sangre de Toro(赤、白)、グラン・ビニャ・ソルGran Viña Sol(白)といった6~12ポンド程の大衆ワイン・メーカーとして知られている。トーレスのワインはどれも飲みやすく、安定した美味しさを誇り、買い得で料理を選ばないため大変便利だ。しかし、トーレス社には前述したような、マス・ラ・プラナ(カベルネ・ソーヴィニヨン種)や、マス・ボラスMas Borrás(ピノ・ノワール種)、ミルマンダMilmanda(シャルドネ種)といった単一畑名を付けた高級ヴァラエタル・ワイン(1本あたり約25~100ポンド)も生み出しているので、一度はトライしてみてほしい。

カタルーニャのチーズとスイーツ


国外でもミゲル・トーレスは躍進中。ヨーロッパのワイナリーとして初めてチリに進出し、幾つかのラインアップを確立しているだけでなく、米カリフォルニア州ソノマ郡においても有機栽培やバイオダイナミック農法を適用してヴァラエタル・ワインを送り出している。

さて、カタルーニャ州産チーズというと山羊乳から造られるチーズで、代表的なものにセミ・ハード・タイプのガロッチャGarrotxaがある。ガロッチャとはスペイン最大の火山帯の名前で、雨が多く、樹木が生い茂る湿度の高い森林地であることからチーズの外側が、自然発生した青色~灰色のビロードのようなカビに覆われている。味わいは優しく、熟成したトーレスの高級白ワインとの相性が抜群だ。そして食事の後は、カタルーニャ地方の地元民達によると、クレーム・ブリュレの祖先だというクレマ・カタラーナCrema Catalona=写真=で締めくくりたい。

 

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson
WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。International Wine Challenge審査員。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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リベラ・デル・ドゥエロは大陸性気候で、夏季は摂氏40度を超えるほどの暑さとなり、乾燥する一方、冬季はマイナス摂氏18度を下回ることもあるなど厳しい寒さに見舞われる。

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