2015年10月8日

 

ご当地ワインと郷土料理&名産物⑪イタリア・ピエモンテ州 その2

『無敵』の黒ブドウ

ネッビオーロ種Nebbioloは、イタリア北部に位置するピエモンテ州やロンバルディア州、ヴァッレ・ダオスタ州で生産される黒ブドウの品種で、イタリアでは『無敵』で最高の黒ブドウ品種として知られている。この品種から造られる最高級ワインとしてはバローロBaroloとバルバレスコBarbarescoが有名だが、他にもネッビオーロ・ダルバNebbiolo d’Alba、ランゲ・ネッビオーロLanghe Nebbiolo、ガッティナーラGattinara、ゲンメGhemme、カレーマCarema、ヴァルテッリーナ・スペリオーレValtellina Superiore、そしてロエロRoeroといった赤ワインも高く評価されている。ネッビオーロ種は厳しい栽培条件を要求する品種で、このブドウで偉大なワイン造りに成功しているところは、世界でもイタリア北部以外に見られない。ブドウ果皮が赤紫色であるため、ワインの色はそれほど濃くなく、タンニンと酸味、そしてアルコール度の高い長命なワインを造る。若いうちはタンニンと酸味が気になるが、長期熟成するとガーネット色に変り、口当たりがまろやかで、芳香に富んだ複雑な風味のワインとなるのが特長。最低でも36ヵ月間(うち、18ヵ月間は木樽内)の熟成が義務付けられている。 

ピエモンテ・ワインの主役

バローロと名乗れるワインを造ることが認められているのは標高150~300メートルに位置する1,734 ヘクタールの栽培地で、そこには約1,300人の栽培者がひしめきあっている。ラ・モッラLa MorraとバローロBaroloのマグネシウムに富む砂と石灰の土壌からは、よりまろやかで、果実風味の強い比較的短期熟成タイプのワインが造られ、東側のモンフォルテMonforteとセッラルンガSerralungaの鉄分に富む土壌からは、長めの熟成を必要とする、より骨格のしっかりとしたワインが造られている。なお、単一畑から造られる偉大なバローロもあるが、ほとんどは異なる地区から生まれるバローロをブレンドしたもので、ラベルには「Barolo」とのみ明記されている。
隣のバルバレスコは、アルバ村を挟んで北東側に位置する地区で、バローロの3分の1ほどのブドウ栽培地を有する。石灰岩質で泥灰土壌である、南に面した丘の急斜面でブドウが育てられている。バローロより平均標高が50メートルほど低く、より暖かいため、ブドウの収穫が早い。ワインもバローロよりも早く熟成し、『バローロの弟』、あるいは『ピエモンテ・ワインの女王』などと呼ばれている。最も有名な作り手はガイヤGaja
バローロとバルバレスコに対し、ネッビオーロ・ダルバ、ランゲ・ネッビオーロ、ゲンメそしてロエロは、より一般的なワインと言え、早期消費用として造られるのが普通。また、ガッティナーラやカレーマは長期熟成が可能なワインだ。

山で生まれたチーズたち

さて、ネッビオーロ種から造られるワインはコクがあり、フル・ボディのワインであることから、猟でしとめたゲーム類(鳥獣)やチーズによく合う。特に、ポレンタを添えた山鹿のシチューとは最高の組み合わせ。そして、食事の締めくくりにはこの地方のゴルゴンゾーラGorgonzola=写真右上=や、優しい味とむっちりとした食感が特徴のブラBra=同右下=を選びたい。
ゴルゴンゾーラは、フランスのロックフォール、英国のスティルトンと並び、世界3大青カビチーズとして有名だ。薄黄色のやわらかなチーズに青かびが筋状に入っており、なめらかな風味の中にもピリっとした刺激があるが、スティルトンやロックフォールほど塩辛くないので、ワインに合いやすい。秋から冬にかけての夜長に楽しむのも良いだろう。

 

 

ミヨコ・スティーブンソン Miyoko Stevenson
WSETディプロマ取得。Circle of Wine Writers会員。Chevalier du Tastevin(利き酒騎士)団員。Jurade de St-Emilion団員。International Wine Challenge審査員。The Guild of Freemen of the City of London会員。ワイン関連の訳書・著書あり。現在、ロンドンでワイン教室を主宰。
www.miyokostevenson.co.uk
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