18世紀の英国人画家ウィリアム・ホガースが、当時の無秩序なアルコール販売のおかげで庶民が酒に溺れ、堕落していく光景を描いた風刺画「Gin
Lane(ジン横丁)」は、アルコールが社会にもたらす脅威をよく表わしているとされるが、昨年からアルコールの販売時間が延長されたことを受け、肝臓病の専門家が、現代のアルコールをとりまく環境はまさにこの風刺画さながらになりつつあるとし、政府のアルコール政策を厳しく非難したことが伝えられた。
ホガースの風刺画は、1751年のロンドンがテーマ。4軒に1軒がジンの販売店という貧民外で、下層階級の労働者がジンに溺れ、深刻な社会問題に発展した中で描かれたものとされ、ウエストミンスターのある教区に実在した通りをモデルに、酔っ払って育児を放棄した女性、死ぬまで酒を飲んだとみられる音楽家、狡猾そうな商人から競って酒を買う人々や、狂った群衆などが誇張して表現されたこの風刺画は、当時の社会に大きな衝撃を与え、政府は慌ててジンの増税や無認可の販売店撤去といった政策を打ち出すに至ったとされる。
王立リバプール大学病院に勤務する肝臓の専門家イアン・ギルモア教授は、このほど開催された英国内蔵学会の年次集会において、アルコールが日常の食料品と同様に販売されていること、アルコールが比較的安価に入手できるようになったことで、パブやバーだけでなく、自宅での飲酒量も増え、人々の健康に深刻な害をもたらすようになっている現状を取り上げ、ホガースの風刺画さながらの光景が現代によみがえることになると警告。
政府はアルコール絡みの犯罪や反社会的行為、公の場での過剰飲酒の取締りに集中するあまり、自宅での飲酒における危険性を見逃してしまっていると批判した。
ギルモア教授はさらに、過剰飲酒を原因とする肝硬変で亡くなる英国の若者の数は1970年代以来10倍に増え、ヨーロッパで初めて最多となったことも報告。
英国におけるアルコールの消費量は、過去40年間で2倍に増加し、健康のために政府が定める限度量以上のアルコールを1回の「飲み会」で摂取する人の数は、およそ600万人にのぼるとみられているという。
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