睡眠障害の治療薬といえば、薬への中毒性や日中の眠気をはじめとする様々な副作用が懸念されているが、このほど、こうした副作用なしに睡眠障害を治療しつつ、記録力を向上させ、肥満の防止にもなるというプラスの副作用をもった薬が開発されており、早ければ2012年までには一般に流通するようになるとみられていることが伝えられた。
産業専門誌「Chemistry and Industry」によると、薬剤開発会社「Actelion」では、日中に突然、何度も眠気に襲われるという睡眠障害ナルコレプシーに関連があるとされるホルモン「オレキシン」をコントロールする薬剤を開発中であるとされ、その研究の副産物として、このホルモンが睡眠障害の治療だけでなく、プラスの副作用を持つことを発見したという。
これまでの様々な研究で、睡眠中、特に夢を見ている時とされるレム睡眠(眼球が動いている状態の睡眠)時には、脳内のある部位における血流が活発になることで、様々な情報が脳に記憶されていることが分かっているとされる。
今回開発中の薬剤「Orexin-RA-1」は、このような夢を見ている状態を誘発し、記憶力向上に一役買うものとみなされており、実際にネズミを使った実験でも、この新薬剤を与えられたネズミは、従来の睡眠障害治療薬を与えられたネズミよりも脳内の活動が活発になり、記憶力が向上していることが証明されているという。
また、オレキシンの実験に関わった研究員のひとり、ブリストル大学のシャーラッド・タヘーリ博士は、睡眠障害が肥満と関連していることを示唆し、オレキシンの分泌量をコントロールすることで、肥満の原因である食べすぎを防ぐことが可能と指摘。そのほかにも、麻薬などの中毒症状にも効果があるものと考えられているという。
不眠症に悩まされる人は人口全体の20〜30%と推定されているが、副作用を懸念するあまり、薬を摂取する人の割合はこのうちのわずか10%にしか過ぎないと見られている。
しかしながら、ナルコレプシーに関しては、その症状としてあごの筋肉が緩むだけという軽度のものから、体全体が脱力していしまうといった重度のものまで様々であり、オレキシンをコントロールすることにより、このような発作を悪化させてしまう可能性もあるとのマイナス面も指摘されているという。
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