筆者 ● デンゾー・タカノ
豪州、米国などでの勤務を経て、今は「現地の会社」で 管理職として働く壮年サラリーマン。もちろん日本人。 趣味は散歩、DIY、ゴルフ(修行中)。
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| 傍目三目:正しくは「傍目八目 (おかめはちもく)」。 他人の囲碁を傍で見ていると、実際に対局している時よりずっとよく手が読めるということ。転じて、局外にあって見ていると、物事の是非、利・非利が明らかにわかること(以上「広辞苑」より)をいう。ここでは、八つも先の目とはいわず、三つ先くらい、の意味で「三目」とした。
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今日もまた一人、セールス・エンジニア候補を面接した。いままで度々、このコラムでグチってきたが、とにかく英国では、技術屋(者)が少ない。軍事産業、石油、自動車関連には結構いるらしいが、弊社の扱う民生用の高精度な電子工業部品を売れるエンジニアをリクルートするのは、ホントに大変だ。
反対に経理屋と(特別のスキルのない)セールスマンは、ハイストリートで石を投げたら必ず当たるくらい、しこたまいるらしいが、このような英国の金融業、サービス産業立国の『ワリ』を食っているのは(他国に来て苦情をいうのもなんだが)我々、日本のメーカーだ。あまりにもエンジニアが払底しているので、発想の転換とばかりに、女性のエンジニアを探してみた。
業界で知られている英国中の主なエージェンシー全部に連絡したが、送られてきた履歴書はたった十人分足らず。しかもその半分は専攻分野が違うか、電子関係のエンジニアとしての職歴が不明確なものかで使い物にならず、たった一人残った良さそうな候補者も、喜び勇んで連絡したら、現在マタニティー・リーブ(妊娠休暇)中で、二、三ヵ月待ってくれと言われ、急場には間に合わなかった。
やはり女性のエンジニアは非常に少ない。差別的にとられると困るが、「技術職」は男の職業であり男の世界だ。例えば、タイヤの走りをよくするため接地面のパターン(模様)を何千回も変えて実験し続けることに情熱を燃やすことができるのは、男性なんだろうな。
それはともかく、せっかく技術者を見つけても、その中からセールスのできるエンジニア、あるいはセールスのセンスのあるエンジニアを探すのは至難の業だ。やむなく、六ヵ月くらいの速成訓練でなんとか形をつけて外へ送り出す(セールスをさせる)ことになる。あるエンジニアの卵には、セールス用の即席マニュアルまで作ってやった。
小生は営業出身なので、そんなものを作るのはお手の物だが、要するに、顧客へのアプローチの仕方、こう質問されたらこう答える、苦情にはこう対処するなど、営業のイロハを教えるものを用意したというわけだ。ところが、色白でやさ男のこの駆け出し君は、不器用なのかくそマジメなのか、理屈ばかりこねて、なかなか外に出て行かず、困った。
察するに、セールスに自信がないんだろう。仕方がないので、セールス・トークと最後のダメ押しは適当でよいから、とにかく客の所へ出向き、担当者に会い、製品の良さを強調して、その場でデモをするだけでいいという簡略コースを指示として与えた。後は、オフィスにデンと構えている、セールス・マネジャーに電話でフォローさせることにした。
起承転結の起(客探し、挨拶、セールス・トーク)と結(売り込むこと、仮契約)をマネジャー任せにする、いわば半人前のセールス・エンジニアだが、最近はこんなのばっかりだ。それなのに彼らは、セールス職に付帯する『必携もの』と自分の本給は、抜け目なく高めに要求してくる。
『必携もの』とは、社用車(英国では、税金を払うかわり私用に使うのを認めている)、ガソリン代、ラップトップ・コンピューターのほか、これにつなぐプリンター、携帯電話、カバン(サンプルを入れるための、パイロットが持つような大きくて立派な本革製品)、クレジット・カード、そして毎月、無税扱いで支給されるエクスペンス・アカウント(日本式に使用分だけ請求する形でなく、毎月定額を支給されるため、つい私用に流用したりするケースが出てくるので監督が必要)などを指す。
ある時、これらのハナシを日本の本社で開陳したら、「それじゃ、おたくのセールス・エンジニアたちは、まるで王侯貴族じゃないですか!
『至れり尽くせり』過ぎるし、公私混同する奴もいるだろうし…」と、日本本社のマジメな販売部長の一人が呆れかえっていた。
本社では、販売部長でさえ、もちろん社用車なし、デスクトップはあるがラップトップなし、社用クレジット・カードなし、社用ケイタイなしが普通である。ホント、よく考えると、これらの『王侯貴族』どもを五、六人も抱えてよく弊社は利益がでるもんだ。よっぽど小生の経営手腕が優れているらしい。あっ、これ、冗談です。
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