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| 北アイルランド問題、労働許可証事情、総選挙ニュースなどカタイものから、2階建てバスや黒塗りタクシー、紅茶にチョコレート、ミュージカルにデパート徹底調査などヤワラカイものまで、英国に関する様々な事柄について《サバイバー》と称し、読者の方に代わり調べたことを毎月ご報告。
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ダーツといえば、刺青をした恰幅の良いオジさんがパブでビールをがぶ飲みしながらするスポーツだと思っていた。的に向かって矢(ダーツ)を投げるという動作を果たしてスポーツと呼ぶべきかどうかも疑問だった。しかし、このダーツ、英国で発祥した数あるスポーツの中でも長い歴史を持ち、ヘンリー八世をはじめとする歴代君主も愛好したという格調高いスポーツなのだ。
一九三七年、時の国王ジョージ六世と王妃がバークシャーにある社交クラブを訪れ、気軽にダーツを楽しみ、サンデー・クロニクル紙がこれを「王妃、英国女性をダーツファンに!」というタイトルで大々的に報道。これ以降、洗練された大人のスポーツとしてにわかにダーツブームが英国に巻き起こったといわれている。
ダーツには、金属製の矢先をつけた「ハードダーツ」とプラスチック製の矢先をつけた「ソフトダーツ」の二種類があるが、英国ではハードダーツが主流で、世界大会やチャンピオンシップトーナメントなどもハードダーツで行われるのが一般的だ。
一方の「ソフトダーツ」は、英国のダーツがアメリカに渡り、一九八〇年代半ばに改良されたもので、自動計算のできるボードマシンを使い、安全性も高いことから、誰もが簡単に楽しめる娯楽としてアメリカで爆発的に流行した。四、五年前、日本でもダーツブームが起き、ダーツバーが続々と登場したが、これはソフトダーツでの人気のこと。
このソフトダーツのおかげで、ダーツ人口は現在世界で数千万人にも膨れ上がり、準じてハードダーツを始める人も増えているのだという。ダーツがここまで普及した理由には、性別、年齢に関係なく、誰でも手軽に始められること、屋内で天候に左右されず楽しめ、畳二枚ほどのスペースがあれば簡単にできることなどが挙げられるだろう。また、標的を狙うという行為には自律神経の強化や集中力、持続力の増強が望めることから、学校教育や生涯学習のカリキュラムとしても導入されているという。ハードダーツに至っては、得点を自分で計算する必要があるから、計算能力も同様に鍛えられる。
英国で主流のハードダーツはパブで生まれたスポーツであるだけに、ビールとタバコが付きもので、つい最近までプロの選手もステージで飲み放題、タバコの吸い放題が当たり前だった。それが原因でテレビ放映が減少し、ダーツ人気が下火になった時期もあった。「ダーツといえばビールっ腹のオジさん」というイメージもあながち外れてはいなかったのである。
しかし、現在は選手のステージ上での飲酒・喫煙は禁じられており、選手の中にも今までのイメージをくつがえすようなスリムな若手選手が増え(?)、ダーツはスヌーカーと並び、高いテレビ視聴率を誇る冬のスポーツとして定着している。
なんだか地味でつまらなそうとか、暑苦しいビールっ腹のオジさんを見るのはごめんだと、今までダーツを敬遠していた人も、先入観を取り払って一度観戦してみてはどうだろう。ダーツが単に的を狙うだけではない、強い精神力と深い思考力が問われる知的なスポーツだということに気付くはずだ。
次頁からハードダーツについて、道具やルールの解説から人気のプレーヤーまでを紹介していく。まだまだ長い英国の冬を楽しく乗り切るためのガイドとなれば幸いだ。
●サバイバー●取材・執筆/本誌編集部
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